兵庫県神戸市中学校にイノシシの頭2個 犯人は野生動物か 猟奇殺人鬼予備軍の噂も出たが

兵庫県神戸市灘区の市立中学校のグラウンドで13日までに、イノシシの頭部2個が見つかった。同県警灘署によると、切断面から人為的に切られたとみられるという。同県内では6、7月に頭部のないネコの死骸が複数見つかっていた。犯罪事情通の間で「小動物虐待がエスカレートし、猟奇殺人になるケースがある」と心配の声もあった。しかし、“容疑者”は意外なものだった可能性が浮上している。
グラウンドに2個のイノシシの頭部があったとはいかにも猟奇的だ。いずれも比較的小さいもので、人工的な切断面だったという。
イノシシは簡単に仕留められる動物ではない。野生のイノシシの身体能力の高さは知られている。走るスピードは時速40キロ、パワーは強く、ジャンプ力もあるため、人間が下手に近づくとけがをしたり、命を落としたりすることもある危険な動物だ。それをいとも簡単に仕留めたとは、銃を持っていたり、巧妙なワナを仕掛けたりした“猟奇殺人予備軍”が野放しになっているということなのか…。
“容疑者”は意外なところから浮上した。猟友会が11日に神戸市の摩耶山でイノシシ4頭(親1頭、子3頭)を捕獲し、その場で胴体を切断し、頭部を土に埋めていた。その後、確認すると、その頭部2個が掘り返されてなくなっていたという。何らかの動物が掘り返し、学校に運んだ可能性があるという。今回は猟師+野生動物の仕業が濃厚なのだ。
実は小動物がバラバラになった死骸は野生動物の犯行だったケースが過去にある。
2012年5~6月に兵庫県姫路市、加古川市、高砂市で、サギ、カラス、キジバト、ネコなどの切断された首やパーツが十数回置かれたことがあった。中には中高一貫校の通用門にまで数回置かれた。頭や腹が鋭利な刃物のようなもので切られた跡があった。
やはり猟奇殺人鬼予備軍がいるのではないかと地元が恐怖に陥ったが、獣医師が傷痕などを確認したところ、“犯人”はアライグマの可能性が高かったというオチだった。アライグマの犬歯は刃物と同等に鋭いというのだ。
英ロンドンでは15~18年、数百件のネコのバラバラ事件が続いた。いずれターゲットが小動物から人間に移行するのではと心配され、ロンドン警察は犯人を「M25キャットキラー」と呼び、捜査を続けた。ところが、犯人はキツネなど野生動物という結論になった。
都内の役所関係者は「新宿区内でカラスのバラバラ事件が続き、エスカレートが心配されましたが、犯人は地域ネコでした。ハトのバラバラ事件もありましたが、犯人はカラスでした。ネズミのバラバラは、その後、捕獲されたハクビシンが犯人視されました」と語る。
ツキノワグマ、アライグマ、ハクビシン、タヌキ、地域ネコ、キツネ、フクロウ、トンビなど、野生動物は意外な行動を取ることがあるようだ。