《令和3年に発生した京王線無差別刺傷事件を巡る服部恭太被告(26)の裁判員裁判。午前中からの被告人質問が終わり、関係者への証人尋問が始まった。証人として法廷に立ったのは、被告の更生を支援しているNPO法人の女性担当者だ》
《NPOは10~20代の加害者の若者や在日外国人を対象に、生活相談などを受ける支援活動を実施。再犯したとしても打ち切らず、サポートを続けているという。支援状況は被告の更生に関わり、有罪判決が出た場合、量刑にも影響するとみられる。服部被告の弁護人は、担当者に被告との関係について聞いていく》
弁護人「被告の支援をすることになった経緯について教えてください」
NPO担当者「弁護士の先生から『支援があったら使いたい』と連絡をもらい、本人とお会いしてスタートしました」
《担当者は被告の供述調書や精神鑑定書を読み、裁判の傍聴もしたことを明かした上で、被告の分析を披露していった》
弁護人「被告はどのようなところに問題があったと思いますか」
NPO担当者「障害とまではいかないですが、属性に問題があり、一緒にいてくれる人がいれば(事件を起こさなかったのではないか)と思いました」
弁護人「被告と初めて面会したのはいつですか」
NPO担当者「(今年の)5月中旬です」
弁護人「どのような印象でしたか」
NPO担当者「すごく真面目な方という印象でした。表情も暗くなく、穏やかな顔をしていて、普通の青年という印象でした」
《2回目に面会した7月上旬は、裁判が始まっていたこともあり『すごく疲れているんだな』という印象も持ったという。面会以外に被告と文通もしているという担当者。弁護人は、長期の実刑判決が下される可能性が高い被告の今後の支援体制も聞いていった》
弁護人「被告は長期の実刑が見込まれますが、支援体制はどうなっていますか」
NPO担当者「今のスタッフが10年後もいると100%言い切ることは難しいですが、団体として支援していくことを確認しています」
《弁護人の質問が終わり、今度は検察官がNPOの支援状況について聞き始める。NPOの一般的な支援内容を聞き出すと、検察官は、被告とNPO担当者が初めて面会した当時の様子を尋ねた》
検察官「面会したときに印象深いエピソードはありますか」
NPO担当者「『事件に対して申し訳なく思っている』という話が最初にありました。また、(事件前に婚約を解消したとされる)彼女への殺意はなく、迷惑をかけたいという気持ちもなかったと聞きました」
《検察官の質問は被告への具体的な支援方法に移っていった》
検察官「被告の支援計画は立てていますか」
NPO担当者「2回の面会と文通だけなので、まだ確定したものを決めるのは難しいですが、今後(支援計画を)作る予定を立てています」
検察官「収容中の支援は文通や面会を行うということでいいですか」
NPO担当者「はい」
《判決が出ていない現状では、被告の収容先も決まっておらず、NPOが活動拠点とする東京から離れた場所に収容される可能性もある。被告側から連絡を断つ可能性もあり、検察官は支援に切れ目がでないかを確認していく》
検察官「どこに収容されても面会しますか」
NPO担当者「直接会うことは大事だと思っているので、頻度は限られるかもしれませんが、面会には行きます」
検察官「仮に文通が来なくなったり、面会できないことが続いた場合、どうしますか」
NPO担当者「刑務所には連絡して、そういった場合でも、彼がどんな状態か聞けるようにしたいと思います」
検察官「連絡が途切れたら支援ができなくなるのではないですか」
NPO担当者「こちらから追いかけることは、やり続けたいです」
《検察官の質問が終了すると、被害者参加人の代理人弁護士が、被告側から断られた場合の支援の継続方法について引き続き、質問を重ねた》
被害者側弁護士「支援を受ける対象が連絡をやめたり拒否した場合、追いかけるとのことですが、どのようなことをしますか」
NPO担当者「会いに行ったり、連絡を取ったりします。連絡を取れないことが再犯リスクを高めるので、連絡をとりたくない相手にならないことを徹底しています」
被害者側弁護士「支援を終了すると判断することはありますか」
NPO担当者「これまで終了すると決めたことはないです」
《被害者側の弁護士の質問が終わると、いったん休廷。再開後、女性裁判官の質問に続き、裁判長からも最後に質問が飛んだ》
裁判長「あなたたちの支援は、どういう人に効果があるものですか」
NPO担当者「被害者を新たに生まないようにするという意味では、地域や社会のためになっていると思います」
《NPO担当者への質問が終わり、午後3時45分ごろ、この日予定されていた審理が全て終了。閉廷が告げられると、被告は裁判長らの方を向き、姿勢を正して一礼し、法廷を後にした》
《次回の公判は7月20日。被告の精神鑑定を行った医師の証人尋問の後、被告の情状に関して再び被告人質問が行われる予定だ》
=(おわり)