2025年大阪・関西万博の会場整備が遅れている問題で、日本国際博覧会協会(万博協会)と政府が、24年春から建設業に導入される時間外労働の上限規制への対応を協議していることが判明した。大阪府の吉村洋文知事が28日、明らかにした。規制の適用外となれば、深刻化する人手不足の緩和につながり、工事を加速化できるが、政府が進める「働き方改革」との兼ね合いもあり、実現への道は険しそうだ。
労働基準法の改正で建設業界では24年4月から、時間外労働の上限を原則年360時間(労使の合意があれば同720時間)とする規定が適用される。人手不足の深刻化が懸念されることから、「2024年問題」と呼ばれている。
吉村知事は同日、報道陣に「万博の建設事業者側から、(上限規制を)除外してもらえないかという声が協会に届き、その声を政府に伝え、事務レベルでさまざまな課題の論点の一つとして議論していると報告を受けている」と説明。西村康稔経済産業相もこの日の記者会見で、「協会とさまざまな課題を洗い出す過程で話に上がったものの一つ」と述べた。
ただ、万博協会自身が22年、万博関連の物品やサービスの調達にあたり、「違法な長時間労働をさせてはならない」との基準を採用している。ある大手ゼネコン担当者も「社会課題の解決を目指す万博の会場整備を時代に逆行する方法で進めるのはどうか」と語り、建設業界内部にも突貫工事を疑問視する声がある。
加藤勝信厚生労働相は28日の会見で、現時点で協会から具体的な要望があったわけではないとした上で、「一般的には単なる業務の繁忙について(上限規制の適用外とすること)は認められないと認識している」との考えを示した。
また、大阪市は同日午後、参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオンについて、着工に必要な申請の前段階にあたる「基本計画書」の提出が初めて1件あったと明らかにした。基本計画にはパビリオンの図面などが含まれるという。着工には、参加国が建設業者と契約を交わし、市に「仮設建築物許可」を申請することが求められる。【野田樹、宇都宮裕一】