違憲判断「適切に対応」=性別変更要件、自民に懸念も―政府

森屋宏官房副長官は25日の記者会見で、戸籍上の性別変更で生殖能力をなくす手術を事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定を最高裁が違憲と判断したことについて、「詳細を現時点で掌握していない。関係省庁で決定内容を精査し、適切に対応する」と述べた。
違憲判断を受け、国会は法改正を迫られる。法務省幹部は「厳粛に受け止める」と語った。
規定維持を求めてきた自民党保守系による「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」の片山さつき共同代表は取材に「精査しないとコメントできない」と語るにとどめた。
自民内からは「真摯(しんし)に受け止める」「困っている人がいるから良かった」との声が上がる一方、閣僚経験者の一人は「納得できない。女性に成り済ます人が現れかねない」と懸念を示した。
公明党と野党の一部は最高裁判断を評価した。公明の石井啓一幹事長は記者団に「重く受け止める必要がある。党としても、手術要件は人権の観点から見直すべきだと従来から主張していた」と強調した。
立憲民主党の長妻昭政調会長は記者団に「性的マイノリティーの権利を守る第一歩を踏み出した」と歓迎。特例法には他にも見直すべき要件があるとして、「まずは政府が改正案を提示してほしいが、党も改正法案提出を目指したい」と表明した。
共産党の志位和夫委員長は会見で「自分の体のことは自分で決めることを当然の権利と認めた判断だ。法改正への責任を果たす」と語った。一方、日本維新の会の馬場伸幸代表は会見で「政治が多数決で決めるレベルの話ではない。拙速に結論を出すのはやめた方がいい」と主張した。
[時事通信社]