毎年恒例の某魅力度ランキングで茨城県が再び最下位に転落した。2009年の調査開始以来、15年間で12回目のビリだという。県民からは自虐的な声が上がっているが、この調査はあくまで主観的なもの。茨城県は本当に魅力に乏しいのか。さまざまなデータを検証してみると、意外な実力が浮かび上がってきた。
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茨城県の評価をまず土地価格からチェックしよう。客観的調査で魅力度が全国最下位となれば、その土地の評価は当然下がるだろう。しかし、今年の地価調査によると茨城県の地価(調査対象547地点)の平均価格は1平方メートルあたり3万9000円で、昨年より0.4%アップし2年連続のプラスとなった。
つくば市の人口増加率は全国トップ
また住宅地は1991年以来32年ぶりにプラスに転じた。なかでも「つくば市みどりの東」は、上昇率が17.3%(1平方メートルあたり5万3000円)と急騰した。居住地としての人気が回復傾向にあることをうかがわせる。
つくば市は、2022年1年間の人口増加率が2.30%となり、千葉県印西市の2.16%、千葉県流山市の1.90%を抑えて全国1位となった。転入超過数も2年連続で全国最多である。
教育環境が充実していることもあり、子育て世代がつくばエクスプレス(TX)沿線に開発された住宅地に移り住む傾向が強い。さらにコロナ明け以降、外国人の転入が再び活発化していることなどが背景にある。
地価上昇、人口増加という現象だけを見ても、茨城県の魅力度が全国最下位というのは幻想といえるのではないだろうか。
茨城県の魅力の高さを物語るわかりやすいデータもある。映画やドラマのロケ地として圧倒的な存在感を放っているのだ。
少し古いデータになるが、2015年11月16日付の日本経済新聞が全国のフィルムコミッションが過去5年間にロケを誘致した映画の作品数を集計して紹介している。
断然の1位になったのが「いばらきフィルムコミッション(FC)」で作品数は264。2位の「沖縄フィルムオフィス」の54を圧倒している。「いばらきFC」は20年以上も前から茨城県が運営し、各市町村のFCと連携しているのが最大の強みだ。
しかも東京から日帰り圏にあること、海、山、農村地帯、ショッピングモール、空港など現代劇、時代劇を問わず作品の舞台としての多彩な顔を持っていることが人気の背景にある。
『VIVANT』のロケ地に