それでいいのか―。1日の参院予算委員会で、沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したブイを撤去する可について、上川陽子外相が「可否を一概に答えるのは困難」と慎重姿勢を示す場面があった。上川氏は法相時代の2018年にオウム真理教の元教祖らに死刑執行を命じたことで知られる。中国相手には弱腰なのかとの嘆息も聞こえそうだが、識者はタイミングの悪さも指摘する。
日本維新の会の東徹氏は、ブイについて「中国に求めても撤去しなかった場合、日本独自で撤去すべきだ」と上川氏にただした。上川氏は「国連海洋法条約には明文規定がない。個別具体的な状況に応じた検討が必要で、可否を一概に答えるのは困難だ」と答えるにとどめ、外交ルートを通じた中国への撤去要請を続ける考えを示した。
問題のブイは、尖閣諸島の魚釣島の北西約80キロに位置し、今年7月に確認された。日本のEEZ内に勝手に設置したことは国連海洋法条約に違反するもので、岸田政権は中国に抗議して「即時撤去」を申し入れたと説明してきた。要請のみの岸田政権には「弱腰」との批判もある。
上川氏は第2次岸田再改造内閣で外相に起用され、法相時代の「胆力」を外交でも発揮することを期待されているが、拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は「日本独自の動きを取りづらい難しい時期」と指摘する。
今月中旬に米サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が首脳会談を行うことで原則合意した。
川上氏は「ブイ問題も、米中首脳会談前に差し障りがあってはいけないと日米間でも議論されたはずで、日本側も日米の枠組みを外れて動けない困難さがある。国外問題の対処の難しさを上川氏も感じているだろう」と今回の答弁にも一定の理解を示した。