東京都内の選挙で自民への逆風が鮮明になっている。12日投開票の青梅市長選では自民、公明両党が推薦した現職が惨敗した。内閣支持率の低迷が地方選にも波及したとみられ、与党は態勢の立て直しに躍起だ。
同市長選は自公両党が3選を目指す現職を推薦したが、国民民主党と、小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党・都民ファーストの会が推薦した新人に9000票近い大差で敗れた。選挙対策本部長を務めた自民の井上信治幹事長代理は12日、青梅市内で「このような結果になり、大きな責任を感じている」と述べ、沈痛な表情を浮かべた。
自民は都内では、9月の立川市長選で自民の推薦候補が敗れたのに続き、10月に2議席を争った都議選の立川市選挙区補欠選挙で自民の公認候補が都民ファ、立憲民主党がそれぞれ公認した候補に敗北した。自民幹部は「岸田内閣の支持率低下がもろに影響した」と分析した。
来月10日に予定される東京都江東区長選にも黄信号がともっている。区長選は木村弥生区長の辞職に伴うもので、辞任した柿沢未途・前法務副大臣が違法なネット有料広告の掲載を提案したとされる。自民は対応を決めていないが、厳しい戦いが予想される。
風当たりの強さは都内にとどまらない。12日に投開票された福島県議選(定数58)でも、自民は議席を改選前の31から29へと減らし、単独過半数を割り込んだ。県連会長の根本匠・元厚生労働相は13日、「次の衆院選に向けて、足腰を鍛えることに尽きる」とコメントした。
与党内からは、税金を滞納していた神田憲次財務副大臣の辞任が13日までずれ込み、「岸田首相の決断が遅すぎたことが響いた」(自民幹部)との恨み節も漏れる。
政務三役の相次ぐ辞任を受け、自民の茂木幹事長は13日、大阪市内で開かれた公明党の会合で「批判は謙虚に受け止め、国民の信頼を回復する努力を続けたい」と述べた。公明の山口代表も同じ会合で「国民の信頼を確保し、襟を正して、出直したい」と語った。
選挙区が狭い小選挙区制では予算の権限を握る首長の影響力が強く、相次ぐ敗北は次期衆院選に影響を与える可能性が高い。首相は年内の衆院解散を見送る意向を固めているが、自民内では「来年以降も衆院選を戦える環境を整えるのは容易ではない」(中堅)との声が出ている。