宝塚歌劇団の劇団員が死亡した問題。11月13日、数年前まで宝塚歌劇団に所属した元劇団員の母親がMBSの取材に応じ、『華やかなタカラヅカの実態』について証言しました。 今年9月30日、宝塚歌劇団の「宙組」に所属していた25歳の女性が宝塚市の自宅マンション敷地内で自ら命を絶ちました。タカラジェンヌに何があったのか。遺族側が11月10日、声を上げました。 (遺族のコメントを代読する井上耕史弁護士)「どんなつらいことがあっても舞台に立っている時は忘れられる、と娘は言っていました。けれど、それを上回るつらさは忘れられる量をはるかに超えていました」 遺族の代理人弁護士は記者会見で、自殺に至ったのは大きく「2つの原因」があったと主張しています。 遺族側が作成した労働時間集計表。亡くなるまでの間、休みなく朝から深夜まで働いていたことがわかります。時間外労働は277時間35分で、過労死ラインとされる「単月100時間」を遥かに上回ります。女性は入団7年目で、下級生をまとめる「長の期」の責任者で、秋の本公演と新人公演に向けた準備に追われていたといいます。 この状況に、別の元劇団員の母親は次のように話しました。 (数年前に退団した元劇団員の母親)「『清く正しく美しく』とか言うけど、全然そんなことは夢のまた夢で。女だけの世界、それを持っている劇団もちゃんと見てくれない。(Q7年目までの宝塚は相当過酷?)過酷です。公演前でしたら朝7時に出て、夜は夜中ですね。休みはあってもいろいろやることが多すぎて。公演に必要なものの買い出しに行ったり、衣装とかヘアアクセサリーを自分で作ったり」 亡くなった女性はさらに過酷だったのでは、と推測します。 (数年前に退団した元劇団員の母親)「(通常8人の)『長の期』が2人っていうのはもうあり得ないくらいのことで。結構忙しいので、2人ではとてもじゃないけどこなしきれない状態。精神的に参っていたと思います。(Q劇団の人たちは知っている?)もちろん知っていますよ」 そして、もう1つの原因。会見によりますと、亡くなった女性はおととし、上級生からヘアアイロンを額に当てられてやけどを負いました。週刊誌報道を受け、今年ようやく行われた劇団からの聞き取りに対し、女性は当時のことを説明しましたが、劇団は「報道は事実無根」とする声明を発表。さらに上級生から「マインドが足りない」「うそつき野郎」などの暴言を受けていたといいます。 こうしたパワハラ行為について元劇団員の母親は…。 (数年前に退団した元劇団員の母親)「上級生が言うことには絶対。嫌でも『はい』って言わないとダメです。私はもっとひどいことやられたから、これくらいで許してあげようっていう感じじゃないですか。(パワハラは)宝塚の世界では『指導』なんですよ」 遺族側は「過重労働と上級生からのパワハラが原因で自死した」として、歌劇団と親会社の阪急電鉄に謝罪と適切な補償を求めています。 『憧れのタカラヅカ』で起きた劇団員の自殺。ファンたちは。 「ただただ驚きました。見ることに夢を感じるものですからね、何か問題があったのかなと。直していかないといけないところは直していただいて、今後の運営につなげてほしいと思っています」 「早く公演が再開してほしいなって。宝塚がずっとこれからもあってほしいなって」