宝塚歌劇団宙組の25歳女性Aさんがマンションから転落死した問題で歌劇団は14日、宝塚市内で会見を開き、先月上旬から外部弁護士による調査結果を発表した。
木場健之理事長は冒頭で「謹んで哀悼の意を表したいと思います。ご遺族の方には大切なご家族を守れなかったこと、心より深くお詫び申し上げます」と深々と頭を下げ陳謝した。
ヒアリングについては宙組生徒を中心に阪急電鉄の役員も含め74人に、最短35分、最長6時間9分。多数の人には概ね1時間から2時間程度だったという。
Aさんについては今年2月、週刊誌で上級生から「前髪の作り方を教えてあげる」と言いながらヘアアイロンをおしあてられ、やけどを負ったとする「いじめ報道」があり、これが原因とされる向きがあったが、この日の報告ではあらためて「本件調査において、どちらが事実(故意か故意でないか)であるかを判断することは困難」などとした。
原因については「劇団としては、特にけいこ終盤の過密なスケジュールをこなしながら、新人公演のけいこも予定される中で、長の期としての役割、活動に(同期)2人のみであたったことが故人に大きな負担になった」との判断で、それを十分に把握できず対処できなかったことへの責任を痛感しているとした。
また、今後の劇団スケジュールについての変更を発表。年間9興行だったものを8興行に減らし、現行1週間あたり10回公演していたものを9回に減らすなどとした。
宙組の女性は9月30日、宝塚市内の自宅マンションから転落死。周囲の状況から自殺とみられている。これを受けて劇団は10月7日、初めて会見を開き、改めて「イジメ」を否定。転落死についての原因究明のため劇団や親会社である阪急阪神ホールディングスとは一切接点のない大手弁護士事務所に依頼して「調査チーム」を立ち上げたことを明かしていた。
一方で25歳女性側の代理人弁護士は今月10日に会見を開き、1日に3時間程度しか睡眠時間が取れなかった過重労働と上級生からのパワハラが要因と指摘し劇団側に適切な被害補償を求めている。被害者側の代理人は14日中にも再び会見を行う予定。