三重県明和町の世古口哲哉町長(57)が7日早朝、国道の側道で軽乗用車にはねられて死亡した。突然の訃報を受け、町は下村由美子副町長(63)が8日から職務代理を務めることを決めるなど、朝から対応に追われた。町選挙管理委員会は8日から50日以内に町長選を行う予定。
事故現場は町長の自宅から北西に約4キロ離れた国道23号に並行する側道。捜査関係者によると、世古口町長は暗めのスーツを着用していた。町関係者は「早朝に公務があったわけでもない。なぜその場所にいたのか」と困惑した様子を見せた。午前中に役場を訪れた80代の女性は「うそやろ」と絶句。町長が町職員時代に同じ職場で働いたといい「誰にでも優しく信念があった」と人柄をしのんだ。
注力の小学校統合、道半ば
世古口町長は1989年に町職員となり、町教育委員会こども課長などを務めた。2018年11月の町長選で初当選すると、「小学校の統合は自分にしかできない」と力を入れた。町内の3校閉校に伴う新校舎着工が間近だったといい、下村副町長は「まさに種まきをしている状況だった。花が咲くところを見たかったはず。忘れ物をいっぱいしていった」と早過ぎる死を悼んだ。
一見勝之知事は「斎宮跡を拠点とした文化観光の振興や、デマンド交通による地域の移動手段の確保など町政の発展に積極的に取り組まれていた。ふるさと三重を想(おも)う同志が道半ばで倒れたことは無念でなりません」とコメントした。【下村恵美、原諒馬、寺原多恵子】