むくみ、イライラ、吹き出物、乳房が痛い、落ち込む、涙が出る、体重が増える…。あなたの生理前の不快な症状はどれですか? PMS(月経前症候群)に悩まされているのは、生理のある時期の日本女性の約74%とも言われています。※1 PMSを改善するには、自分のPMSのタイプを知ることが対策選びの役に立ちます。
PMSは不調を自覚するだけで、“症状が軽くなる”とも言われています。自分のPMSタイプを知って、薬選びや化粧品選びに役立てる方法をお伝えします。
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生理前の5日間で、次のような症状があるかどうかをチェックしてみましょう。下記に当てはまるようなら、婦人科を受診して相談するのをお勧めします。治療して治したほうがいいPMSである可能性が高いタイプです。
(1)過去3ヵ月以上連続して生理前5日間に、下記の体と心の症状のうち、少なくともひとつ以上の症状がある。
【体の症状】・乳房の痛み・おなかの張り、腰痛・頭痛・手足のむくみ
【心の症状】・抑うつ気分・怒りっぽくなる・イライラ・不安・混乱・引きこもり
(2)その症状は、生理開始後から4日以内に症状が改善し、13日目まで再発しない
(3)薬やアルコールによる症状ではない。
(4)これらの症状は、仕事や生活に支障をきたす。
いかがでしょうか? 上の(1)~(4)のすべてに当てはまったら、婦人科を受診して相談したほうがいいPMSの可能性が高いと言われています。
※1 Tanaka E,Momoeda M,Osuga Y et al.Burden of menstrual symptoms in Japanese women;results from a survey-based study. journal of Medical Economics 2013;Vol 16, No 11:1255-1266
PMS(月経前症候群)とは、生理開始の約3~10日前から始まる心と体の不調で、生理開始とともに消失する症状をいいます。実はこのPMSには人によってタイプがあり、自分のタイプを把握しておくことで対策を取ることができます。下のチェックリストであなたに起こる生理前の不調をチェックしてみてください。あなたのPMSのタイプがわかります。
【体】・顔や体がむくむ・だるい、疲れがとれない・眠い・眠れない・乳房が痛む、乳房が張る・肌あれ、ニキビができる・頭痛、頭が重い・首や肩がこる・下腹部痛、吐き気がある・腰痛が起こる・下痢/便秘になる
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【心】・イライラする・気力が低下する・落ち込みやすい・涙もろくなる・不安になる・孤独を感じる・緊張する・クヨクヨする・考えがまとまらない・人に会いたくない
【行動】・集中力が低下する・衝動買いをする・八つ当たりしてしまう・暴力的になる・感情を抑えられない・過食になる/食欲がない・性欲が増す/減る・失敗が多くなる・物忘れがひどくなる・体を動かすのが面倒になる
体…合計 点心…合計 点行動…合計 点
いかがでしたか? 体、心、行動の中で合計が6点以上なら、そこが強く出やすいタイプです。タイプによって対処法を変えてみます。体のトラブルタイプは、運動と休息、食の改善が効果的。心のトラブルタイプは、リフレッシュ、栄養が大切。行動のトラブルタイプは、ゆったりモードでストレスフリーでいることが大事です。
【体のトラブルが多いタイプ】
適度な運動をして、休息もきちんととることが大切。体を動かして汗をかいて、湯船につかって、早く寝ます。食事は、朝食抜き、おやつの食べすぎに気をつけます。バランスのいい食事をできるだけ1日3食摂るように心がけます。PMSの時期は、ビタミンとミネラルが不足しがち。ビタミン、ミネラルをしっかり摂って、塩分や刺激物を控えた食事に変えることで、むくみや肌荒れの解消につながります。
【心のトラブルが多いタイプ】
PMSの症状があるのは、「ホルモンリズムが働いている証拠」とポジティブにとらえるだけで、心が楽になります。意識してリフレッシュ&リラックスを心がけます。完璧にこなそうとせずに、つらいときは肩の力を抜いて自分を甘やかして。仕事中、気持ちのリフレッシュを意識的に行ったり、家ではリラックスして好きなことをして過ごす時間をとるようにしましょう。
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【行動のトラブルが多いタイプ】
忙しすぎる生活を見直しましょう。睡眠不足は大敵です。PMSの時期だけでも、ゆったりモードでストレスを溜めこまずに、なるべく気楽に過ごすようにしましょう。大切な仕事は、後回しにしたり、旅行や出張の時期を生理後のスケジュールに入れ替えるなど、無理をしないように。周りの人に理解してもらえるよう、不調を伝えるのも大切です。
PMS(月経前症候群)は、治療して治すことができます。「でも、この程度で病院に行っていいの?」と躊躇するのも確かです。どんな症状なら、婦人科で治療したほうがいいのか…、セルフケアでなんとかできるのはどの程度なのでしょうか。
現在、婦人科で行われているPMSの治療は、2本柱です。ホルモン療法と漢方薬です。
ホルモン療法は、エストロゲンとプロゲステロンの合剤である低用量ピルが使われます。 低用量ピルは、排卵を抑えて、ホルモンバランスを一定にすることで、子宮内膜を厚くするのを抑えて、生理の出血量を少なくして、生理時の子宮の収縮も少なくて済み、痛みも軽くなるのです。PMSの諸症状や生理前の吹き出物やニキビを改善する作用もあります。不妊症、子宮体がんを予防する効果もあります。
低用量ピルは、医師から処方してもらいます。ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれていて、OC(低用量ピル)とLEP(超低用量ピル)があります。いずれも排卵を抑えるとともに、子宮内膜が厚くならないようにして、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の産生を抑えます。その影響で、生理痛や生理周期によって起こるさまざまな症状が改善され、排卵を止めるので、PMS症状も改善します。
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OC(低用量ピル)とLEP(超低用量ピル)の選び方としては、月経困難症(つらい生理痛)の症状も一緒にある人なら、LEPは月経困難症の保険適用薬です。生理痛がつらい人はこちらを選んでもいいでしょう。もちろん避妊効果もあります。健康保険3割負担で2400~2500円(診療費別)ほど。つらい生理痛がない人、避妊も兼ねたい人はOC(低用量ピル)があります。OCの種類はたくさんあるので、医師と相談して選んでください。ニキビや吹き出物にも効きやすいOCもあります。1ヵ月分1シート約2000円~3000円(診療費別)程度です。
個人差があるため、OCも含めて1ヵ月程度試してみて、合わないと感じたら違うものに変えてみてもいいかもしれません。
PMSの症状改善に、有効な漢方薬も複数あります。PMS全般を改善する薬から、PMSのむくみ、ニキビ、頭痛、腹痛など、それぞれの症状に効く漢方薬など。体質によって、同じ症状でも漢方薬は変わります。自分に合ったものを選ぶことが大切なので、医師の診察を受けるのがベストです。婦人科医は、漢方薬をよく処方していますし、医師処方なら健康保険が使えます。
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「加味逍遥散(かみしょうようさん)」イライラ、不安、肩こり、眠れないなど、ストレス度が高く、つらい症状が多い人に。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」体力があまりないほうで、むくみや月経痛がある人。
「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」体力が比較的あって、便秘、お腹周りが張ったり痛くなる人。
「桂枝茯苓丸加苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」 生理前に下腹部痛や肩こり、頭重、めまいがあるタイプで、生理前と生理時のニキビ、吹き出物、肌荒れ、手足の荒れや生理不順に。
「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」 ニキビに多く使われています。比較的体力があって、赤みや炎症が強く、脂性肌のニキビに。顔面の湿疹にも使われます。
PMS(月経前症候群)の乳房のはり、頭痛、イライラ、怒りっぽい、気分変調などの症状の緩和に対する市販薬もあります。PMS治療薬「プレフェミン」です。プレフェミンは、日本ではじめて承認された、PMSのための医薬品です。スイス、オーストリアなど多くの国で使用されています。
有効成分は、西洋ハーブのチェストベリー。地中海沿岸地域などに自生するチェストツリーの果実です。ヨーロッパでは、ギリシャ・ローマ時代からさまざまな婦人科の治療に伝統的に使われてきた西洋ハーブのひとつです。
生理前に肌の不調に悩む人も多いのではないでしょうか。PMSの時期は、肌のターンオーバーが乱れて、角質層のバリア機能も低下します。この時期は、敏感肌用のやさしい化粧品を使いましょう。
特に、吹き出物や肌荒れが気になる人は、バリア機能が低下しているので、保水力の高めのものを選ぶことが大事です。また、洗顔料も敏感肌用のやさしいものを使いましょう。ローズの香りは、ストレスの軽減、バリア機能改善に効果があります。ローズの精油をハンカチに沁み込ませて持ち歩くのもいいでしょう。
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洗面器でフェイシャルスチームをするという方法も。熱いお湯を入れた洗面器に精油を1滴たらします。蒸気を逃がさないように頭からバスタオルをかぶって洗面器を覆い、目を閉じてゆっくり深呼吸。蒸気が顔の血行と代謝を促し、香りでリラックスできます。
参考文献:『生理のミカタ』https://www.seirino-mikata.jp/『プレ更年期から始めよう』かもがわ出版『女性ホルモンの教科書』日経BP社『女性ホルモンパワー』だいわ文庫