プール小4死亡事故、「最も重大な原因」は児童の居場所把握しなかったことと第三者委指摘

昨年7月、高知市立長浜小4年の松本凰汰(こうた)君(9)が水泳の授業中に溺れて死亡した事故で、市教委が設置した第三者検証委員会は31日、報告書を公表した。指導を担当した教諭が、松本君の居場所を把握しないまま泳がせたことが「最も重大な原因」と指摘した。
松本君は昨年7月5日、市立南海中のプールで溺れ、その後に死亡した。同小のプールは当時、濾過(ろか)ポンプの故障で使えず、代わりに使用した同中のプールの水深は114~132・5センチで、松本君の身長(113・8センチ)を超えていた。
報告書によると、松本君ら泳ぎが苦手なグループの指導を担当した教諭(当時26歳)は、以前に松本君が溺れかけたことを知っており、特に注意が必要だと認識していた。しかし、当時は意識から抜け落ち、松本君がどこにいるか把握していなかった。
また、一緒に指導する役割だった別の教諭(当時56歳)も、泳ぎの得意なグループを見守るなどして松本君らへの指導に参加するのが遅れた。このため、1人で指導していた教諭の焦りを助長し、事故につながったと結論付けた。市教委や小学校が、中学校の深いプールで授業を行う際に水深を下げるなどの対策を講じなかったことも原因の一つとして言及した。
再発防止策では、授業の実施者と監視者の役割を分け、プール内を隅々まで見渡すことなどを求めた。
検証委は、弁護士や医師ら7人で構成し、昨年8月から調査を進めてきた。
高知県警は今年2月、安全対策が不十分だったとして、当時の市教育長ら市教委幹部3人と校長、現場で指導していた教頭と教諭2人の計7人を業務上過失致死容疑で書類送検している。