ミャンマー地震で医療従事の日本人医師が帰国会見 物資不足「積極的に支援を」

ミャンマーの大地震発生から1週間となった4日、震源地付近で医療活動に従事していたNPO法人「ジャパンハート」創設者の吉岡秀人医師(59)が東京都内で帰国後の記者会見を開き、現地の被害状況や必要とされる支援物資などについての報告を行った。
吉岡氏は3月28日の地震発生時、震源地近くの中部ザガイン地域の「ワッチェ慈善病院」で診療にあたっていた。突然強い揺れに襲われ、物が床に散乱。「建物ごと崩れ落ちてくるのではないか」と恐怖を感じた。
手術室には、全身麻酔を施したばかりの女性患者がいたため、人工呼吸器を使いながら医療スタッフと屋外へ搬送した。他の患者たちも避難して無事だったが、複数回の余震で病院2棟のうち1棟が倒壊した。
吉岡氏は病院の敷地内でけが人を治療するほか、近辺の病院に出向いて診察を続けた後、今月3日に帰国した。
地震発生から約1週間の状況について、「都市部には人や物資の支援が集まってきているが、小規模な町の病院では医療物資が決定的に足りない」と吉岡氏。縫合のための糸や抗生物質などがそろわず、十分に医療が行えない状況だという。
病院周辺は交通インフラも打撃を受け、水も不足。現地では気温40度に迫る酷暑が続いている。これまでに死者数は3千人以上に上るとされているが、「このままでは子供やお年寄りの死亡率が上がる」と懸念する。
ミャンマーでは、2021年2月のクーデター以降、民主派や少数民族と国軍の戦闘が続いている。吉岡氏は「軍政側も反政府側も大きな被害を受け、互いに支援を必要としている」とした上で、日本政府に対し「積極的な支援で、早期の復旧・復興をサポートしてもらいたい」と呼びかけた。(塚脇亮太)