天台宗の尼僧が住職からの14年にわたる性暴力を訴えている問題で、4日、尼僧が会見を開き第三者委員会による審判を求めました。
尼僧は住職らの僧籍剥奪を求めていましたが、天台宗は先月、住職を罷免とし、手助けをしたとされる大僧正については処分しないと通知していました。
四国に住む尼僧の叡敦さん(法名・50代)は、2009年から14年間、四国にある天台宗の寺の住職から「逆らうと地獄に落ちるぞ」などと恫喝され、繰り返し性暴力を受けたと訴えています。
また、この住職を叡敦さんに紹介した大僧正についても、助けを求めたが取り合ってもらえず、加害行為の手助けをしたと主張しています。
叡敦さんは住職と大僧正の僧籍を剥奪するよう求めていていましたが、天台宗は宗派内での審理結果として先月、叡敦さんの代理人に性加害をしたとされる僧侶を「罷免」、大僧正は「処分に該当しない」と通知していました。
叡敦さんの代理人によりますと、「罷免」は住職の地位を失うだけで、他の寺の住職になったり住職としてでなければ僧侶として今の寺で働き続けることも可能な処分だということです。
叡敦さんは4日、都内で会見を開き、「本当に絶望している。悲しくて、いま生きていることが耐え難く、苦痛で仕方がない」と通知を聞いた際の心境を語りました。
天台宗に対しては「女性の人権や女性差別を全く理解しておらず、女性への性暴力を肯定している教団としか思えなくなり、それがとても残念で悲しい」と言及。
現在の信仰心を問われると「今回の処分を聞いて、全く手を合わせることができなくなった」と明かしました。
天台宗の制度では、審判結果に対し当事者の僧侶ら2人と宗務部長は20日以内に不服を申し立てることができますが、叡敦さんによる不服申し立ては認められていないということです。
そのため叡敦さん側は宗務総長に対し、不服を申し立てるよう求めるとともに第三者委員会を立ち上げ審判をするよう訴えています。