東電、2回目の燃料デブリの試験取り出しに着手 福島第1原発

東京電力は15日、福島第1原発2号機で、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の2回目の試験取り出しに着手した。初めて試料を回収した2024年11月の前回と同じ手法で、別の地点から採取を試みる。最大3グラムを2週間程度かけて回収する予定だ。1~3号機には推計880トンの燃料デブリがあり、取り出しは廃炉の最難関とされる。
東電はこの日、原子炉を支える土台(ペデスタル)底部の燃料デブリの採取に向け、釣りざお式の装置を格納容器内に投入した。今後、装置先端の器具を底部に垂らし、燃料デブリをつかんで引き抜く。
前回より原子炉の中心に1~2メートル近い地点での採取を目指す。前回と異なる組成の試料を採取して分析を進めることで、今後の取り出しや保管の工法検討に生かす狙いがある。現場の障害物の有無など詳細な状況は不明なため、カメラで確認しながら採取できるか判断する。
前回も釣りざお式の装置で土台底部から0・7グラムの燃料デブリを回収した。しかし高線量の作業環境が影響し、着手直前にパイプの接続順を誤り、作業が中断。着手後も装置先端のカメラが映らなくなるトラブルが発生した。今回は3月下旬からパイプの接続順を確認する訓練を実施し、カメラの交換と器具の改良も行った。
東電は当初、幅広い動作が可能なロボットアームを使い、21年中に試験取り出しに着手する予定だった。しかし開発が遅れ、3度の延期を経て、釣りざお式の装置に変更した。2回目の取り出しもロボットアームで24年度中に行うとしていたが、不具合などで前回の装置を使うことになった。ロボットアームは開発から6年以上たっても調整が続いており、東電は25年度後半の利用開始を計画している。【木許はるみ】