新たな危険ドラッグ「笑気麻酔」 沖縄で拡大か 機能不全や意識不明恐れ、海外では問題化

「笑気麻酔」との名称でSNS(交流サイト)上で売られている新たな危険ドラッグが、沖縄県内で流通し、若者を中心に使用が広がっている。国内では未承認の医薬品成分「エトミデート」を含んでおり、厚生労働省や県などが注意喚起している。意識混濁や手足の機能不全、意識不明になるなどの恐れがあるという。海外では「ゾンビ・タバコ」と呼ばれて社会問題化する国もあり、日本での蔓延が懸念される。
沖縄県薬務生活衛生課によると、エトミデートを使用することによって、意識混濁、手足のしびれ、手足の機能不全(動かなくなるなど)、酒に泥酔しているような状態になるといった症状が現れる。激しい眠気に襲われ、意識を失うこともあるという。
沖縄県では今年に入り、エトミデートを含む危険ドラッグを使用して体調不良を訴えたとみられる救急搬送の事例が相次いでいる。搬送者の多くは10~20代だといい、X(旧ツイッター)などを通して入手したとみられるという。実店舗での販売は確認されていないとしている。
商品はリキッドと呼ばれる液体を含んだカートリッジで、電子タバコに取り付けて吸引する。県警が事故や薬物の捜査で押収したリキッドからはエトミデートの成分が検出されたという。
厚労省などによると、エトミデートは海外で鎮静剤や麻酔導入薬などとして使用される医薬品成分で、国内では未承認。東アジアや東南アジアではエトミデートの成分を含む危険ドラッグが「ゾンビ・タバコ」の名称で蔓延し、社会問題化している国もある。日本国内では、使用に対する法的な規制はなく、所持や使用は取り締まることができないのが現状だ。
一方、痛みや緊張の緩和を目的に歯科医などで行われる、笑気ガスの吸引による「笑気麻酔」と呼ばれる同名の治療行為は、使用される医薬品成分などがまったく別のものだという。(外崎晃彦)