兵庫県庁内に動揺 幹部「誇り持てない」 知事の漏えい指示可能性に

斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を告発した元県幹部の私的情報について、斎藤氏らの指示で漏えいされた可能性が指摘されたことを受け、県庁内には動揺が走っている。斎藤氏は28日の記者会見で改めて関与を否定したが、県民からは辞職を求める声も上がる。
「職員は本当に落ち着かない。兵庫県の職員という誇りが持てなくなっている」。ある県幹部が嘆く。
問題となったのは、元県西播磨県民局長(故人)の私的情報の取り扱いだった。県の第三者委員会は27日、元県総務部長の井ノ本知明氏(停職3カ月)が県議3人に情報を漏えいしたと公表。斎藤氏らの指示があった可能性が高いとした。
第三者委は漏えいへの関与を否定する斎藤氏の説明を採用せず、「指示があった」とする元部長らの証言が信用できると判断した。
この幹部は「あれだけ踏み込んだ調査報告書を出した第三者委には敬服する。知事はすぐ、『県政を前に進める』と言うが、自身の行為の責任はどう取るのか」と怒りをあらわにした。
斎藤氏は28日の会見で「漏えいの指示はしていない」と強調する一方で、「組織の長として責任を取る」と表明。自らへの処分として給与をカットすると明らかにした。
ただ、ある県職員は「お茶を濁そうとしているようにしか見えない」と突き放す。文書問題への対応について「知事はかたくなな態度だったが、処分で収めようとしているのか。だが、漏えいの指示は認めない。正直に話してほしい」と訴えた。
文書告発問題を巡って県政は混乱。苦情対応などで職員の負担が増えたとされる。県庁内の知事部局では2024年度の自己都合退職者が、前年度比で4割増となる103人に達した。
斎藤氏の対応について県民も戸惑いを隠せない。神戸市中央区の女性(78)は「責任を取らないのは論外で、何のために第三者委員会をしたのか。できるだけ早く、自分から辞職してほしい」。神戸市長田区の男性(29)は「県民を思ってくれるような発言もあるが、イメージアップを図るのは難しいと思う」と話した。【稲生陽、山田麻未、前田優菜】