学歴詐称疑惑を受け、2日会見に臨んだ静岡県伊東市の田久保真紀市長。田久保氏は「(東洋大卒業という)経歴は選挙中も公表していない」として、公職選挙法違反には当たらないと主張した。選挙では有権者への浸透を図るため、経歴は1つの武器。政治の世界では過去にも多くの学歴詐称疑惑が取りざたされてきた。
選挙における当選目的での虚偽の公表は「虚偽事項の公表」として公選法違反罪に問われる場合がある。有罪になると、2年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金が科される。
民社党(当時)から参院選に出馬したタレントの新間正次氏は明治大中退としていたが、入学していなかったことが判明。最高裁まで争ったが、94年に有罪判決が確定し失職した。公選法違反罪により最高裁で有罪判決を受ける現職国会議員としては初のケースとなった。
学位留学の経歴を偽っていたのは民主党(当時)の衆院議員だった古賀潤一郎氏。米カリフォルニア州のペパーダイン大卒業としてたが、単位不足で卒業できていないことが発覚し、2004年に公選法違反容疑で告発され、起訴猶予処分となった。
選挙戦候補者ではタレントで「サッチー」の愛称で知られた野村沙知代氏(故人)が1996年の衆院選で新進党(当時)から出馬したが、米コロンビア大留学という経歴が虚偽であるとして告発された。東京地検が捜査したが詐称の証拠が得られず、不起訴処分になった。
東京都知事の小池百合子氏は元側近にエジプト・カイロ大卒業の経歴が詐称だと告発されたことがある。カイロ大は2020年に学長名で小池氏の卒業を認める声明を出し、小池氏も2度の都知事選で卒業証明書を公表して選挙戦を戦った。