英語能力試験「TOEIC」を替え玉受験したなどとして、中国籍の男が警視庁に逮捕された事件を巡り、試験を運営する「国際ビジネスコミュニケーション協会」(東京)は7日、2023年5月以降の試験で、計803人が男と同一か酷似する住所で申し込んでいたと発表した。同協会は不正受験の可能性があるとして、803人の過去の試験結果を全て無効とした。
男は、京都大大学院2年の被告(27)(京都市左京区)。東京都板橋区の試験会場に替え玉受験目的で入ったとして、今年5月に建造物侵入容疑で警視庁に現行犯逮捕された。解答の伝達役だったとみられ、マスクの内側に小型マイクを隠していたほか、眼鏡型の電子機器「スマートグラス」などを所持していた。
同協会が23年5月以降の受験履歴を調べたところ、被告と同一か、部屋番号だけが異なるといった酷似する住所で計803人が申し込んでいたことが判明した。居住地で会場が決まる仕組みを悪用し、男から解答を聞くなどしていたとみられる。
同協会は7日、この803人に対し、過去の試験結果を全て無効化した上で、今後5年間の受験資格を剥奪(はくだつ)した。これまでに試験結果の提出を受けた学校や企業などから問い合わせがあれば、対象者かどうかを回答するという。
事件を受け、同協会は6月から、住所などが疑わしい受験者に対し、本人確認書類の提出を求める運用を始めた。また、試験前にスマートフォンの電源が切れているかや、眼鏡の機能を確認する運用も進めている。
さらに、同協会はスマホの電波を検知する機器を会場に設置することを検討。王被告のケース以外に、同様の申し込みがなかったかについても調査していくという。