安倍晋三元首相が令和4年7月、奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件から8日で3年。今年10月に山上徹也被告(44)=殺人罪などで起訴=の初公判も控える中、妻の昭恵さん(63)が産経新聞のインタビューに応じた。3年前の事件当日を振り返り、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題にも言及。山上被告の公判にも「どこかのタイミングで行きたい」と語った。
主な一問一答は次の通り。
――3年前の事件当日のことをどのように覚えているか
「夕方まで予定がない日で、掃除をしていました。お昼近くに、主人の母のところにいってお昼ご飯を食べようとしているとき、安倍事務所の女性から事件を伝える電話がありました。身支度をして奈良の病院に向かいました。到着は午後5時くらいになりました。到着まで院内の処置室では心臓マッサージを続けていましたが、『もう結構です』とお伝えし、死亡が確定しました」
――銃撃事件で安倍氏は亡くなった。それに対する受け止めは
「(安倍氏が)亡くなった直後は現実を受け入れられず、泣くこともなかったです。毎日やることがたくさんあって、事務所の人と打ち合わせをしたり、仕事のようでした。通夜や葬儀が終わった後、弔問もありましたが、『主人の運命です』と淡々と対応しました」
――安倍氏が亡くなったことをきっかけに、さまざまな問題が浮上した
「奈良県警の警護の問題も指摘されました。警護体制をきちんと厳しくすることは大事だと思うけども、有権者と距離を取ることは主人も望んでいないと思う。やはり政治家というのは有権者とともにあり、その声を近くで聞くことを大事にしていました」
――事件後、旧統一教会や霊感商法にも注目が集まった
「非常にデリケートな問題だと思います。旧統一教会だけではない。何かを最初に信じる段階ってみんな純粋だと思う。そういうものを利用してはいけないとは思います」
――事件に関する一連の報道をどのように見ていたか
「マスコミの情報やSNS(交流サイト)、陰謀論にも目を通していました。真実を明らかにすることは大事だと思いますが、夫が亡くなったという意味においては、どういう殺され方であったとしても、命は戻ってこない。恨むようなところには重きを置きたくないです」
――10月には山上被告の初公判がある
「裁判に影響してはいけないので、公に話しにくいことではあります。でも真実は知りたいと思うので、裁判にはどこかのタイミングで行きたいと思います」
(聞き手 堀口明里)