外国人政策「規制と共生」議論活発…都議選で参政躍進、各党こぞって追随

参院選で与野党が在留外国人に関する政策をこぞって打ち出している。6月の東京都議選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が躍進したためだ。自民党は保守票の取り込みにつながるとみて力を入れている。(佐藤竜一、山崎崇史)
自民、保守票狙う

石破首相(自民総裁)は5日、クルド人が多く集まる埼玉県川口市での街頭演説で、「外国の方々に色々な役割を果たしてもらうことが大事だ。日本の習慣を身につけ、ルールを守ってもらう」と訴えた。他の自民議員からも外国人政策への発言が増えている。
自民は公約で「『違法外国人ゼロ』に向けた取り組みを加速する」とうたった。外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切替(外免切替)」の審査厳格化や、政府が来週設置する司令塔組織の新設なども打ち出した。
自民内では「岩盤支持層が離れている」との危機感が強まっており、外国人政策に注力する姿勢を打ち出すことで、保守層をつなぎ留めたい思惑が透ける。
公明党も、外国人による社会保険料の未納情報を在留審査に反映させるなど、在留管理の高度化を掲げる。
外国人政策に各党が注力し出したのは、都議選で外国人の不法滞在の取り締まり強化などを訴えた参政が3議席を獲得して躍進したことが大きい。相次ぐ外国人の犯罪行為に不安を抱く有権者の支持が参政に集まったとみて、各党ともこぞって力を入れ始めた形だ。
野党では、日本維新の会が公約で外国人比率の上昇抑制や総量規制を含む人口戦略の策定など規制強化を訴える。一方で立憲民主党と共産党は外国人との共生に重きを置く。立民は公約に人種などを理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を明記しており、野田代表は7日、群馬県伊勢崎市で記者団に「外国の方に入っていただき、仕事をしてもらわないと日本は回らない」と語った。
各党とも「排外主義」と見られることへの警戒も強い。日本は急速な人口減少に直面し、労働力人口も減っていくなか、外国人の活力を取り込むことが不可欠な状況で、規制強化と共生のバランスをとることに苦慮している。
国民民主党は公約に当初盛り込んでいた「外国人に対する過度な優遇を見直す」との表現について、「外国人に対して適用される諸制度の運用の適正化を行う」と修正した。玉木代表は「排外主義的だという批判をもらった。誤解を解く意味で修正した」と説明した。