「自公の過半数割れ」「国民民主党と参政党の躍進」という結果で終わった第27回参議院選挙。国民民主党の「手取りを増やす」や参政党の「日本人ファースト」といった、短くわかりやすい選挙スローガンが受け入れられたことが背景にあると考えられる。
こうした流れにどこか危うさを感じるのは、筆者だけであろうか。今回の選挙戦を振り返って思い出されるのが、「小泉旋風」が吹き荒れた20年前の衆院選だ。
若年層の男性が詰めかけたマイク納め
今回の参院選の選挙戦最終日となった7月19日、筆者は参政党と国民民主党のマイク納めに行ってみた。
東京・港区の芝公園には、参政党の神谷宗幣代表らが到着する前から多数の人が集まっていた。目立っていたのは「参政党はJナチス」「NO!参政党」といったプラカードを掲げた“アンチ”の存在だ。同党から東京都選挙区に出馬したさや氏が同日午後に銀座で開いた演説会にも、同じ集団が駆けつけてヤジを飛ばしていた。
国民民主党が“原点”とする新橋駅前の広場も、2000人ほどの聴衆で埋め尽くされた。公示日である7月3日朝の第一声では広場の半分ほどしか聴衆は集まらなかったが、中盤以降に盛り返してきた国民民主党の勢いがよくわかる。
聴衆の多くは若年層の男性だった。7月11日から3日間行われたNHKの調査でも、国民民主党の支持率は男性が6.7%で女性が2.6%と、より男性から支持されている。同調査によると、国民民主党は18~29歳の支持率が17%で全政党の中でトップを占め、30代では10.3%で参政党と同率だった。
なお参政党も、男性の支持率が7.6%に対して女性の支持率が3.6%と男性からの支持が多く、18~29歳の年齢層では12.3%で、国民民主党に次いで人気が高かった。また、50代の支持率が自民党(17.1%)に次ぐ10.2%で、5.6%の国民民主党よりも支持層の年齢が高いことがうかがえる。
今回の参院選の投票率は58.51%で、3年前の前回より6.46ポイントも高かった。2022年の参院選での投票率は、10代では35.42%で、20代は33.99%、30代は44.80%と、いずれも若年層は全年齢層よりも低い傾向にあるが、2025年の参院選ではこれらの層の投票率が上昇したのではないかと思われる。
実際に朝日新聞が7月13・14日に行った調査で「投票に必ず行く」と答えたのが、18~29歳が54%で、3年前より17ポイントも増加。30代では66%と、11ポイント増えている。
今回の参院選と印象が重なる「小泉旋風」