衆院選・都議選・参院選と3連敗を喫し、批判の声が高まるも、なぜ首相は続投意欲が衰えないのか。衆参共に少数与党となったいま、自民党を次に引っ張るのは誰か……永田町を知り尽くす政治記者3人が、混迷する政局を斬る。(本記事は 以下3名の政治記者による鼎談 の冒頭を抜粋したものです)
田﨑史郎/たざきしろう 政治ジャーナリスト。時事通信社政治部で田中派、平成研などを担当し、特別解説委員を経てフリー。著書に『安倍官邸の正体』(講談社現代新書)、『小泉進次郎と福田達夫』(文春新書)など。
久江雅彦/ひさえまさひこ 共同通信社特別編集委員。政治部記者として、自民党、旧防衛庁、外務省などを担当してきた。主な著書に『日本の国防――米軍化する自衛隊・迷走する政治』(講談社現代新書)など。
青山和弘/あおやまかずひろ 政治ジャーナリスト。日本テレビ政治部で野党キャップ、自民党キャップ、外報部ワシントン支局長などを歴任、2021年からフリー。著書に『恩讐と迷走の日本政治』(文藝春秋)など。
青山 「ガス抜きのためだろう」と揶揄された7月28日の両院議員懇談会後も自民党内の不満は抜けず、“石破おろし”の動きは根強くありますが、石破茂首相の続投の意志はむしろ強まっているように感じます。なぜ辞めないのか――多くの国民が抱く疑問だと思いますが、田﨑さんはどう見ていますか?
田﨑 昨年12月27日、石破さんと前首相の岸田文雄さんが会食をしました。その際、石破さんが「この仕事をよく3年も続けられましたね」と聞くと、岸田さんは「負けてたまるかの一念でした」と返した。いまの石破さんも「負けてたまるか」という思いが強いのではないでしょうか。
青山 確かに、読売新聞や毎日新聞の「退陣へ」との報道があり、旧安倍派・旧茂木派・麻生派など石破さんと対立してきた議員が「責任を取れ」と声を上げ続けている。石破さん目線では、自分が謂れのない攻撃を受けているように見えるのでしょう。先日私が取材した時も「自分との戦いです」と語っていましたから。
田﨑 ただ、党内で理解を得られるかというと難しい。そもそも「参院選で自分が必達目標に掲げた『非改選議席を含め、自公で過半数』を達成できなかった責任を取るべきだ」というシンプルな論理を、石破さんはスルーしています。批判を受けるのは当然です。
久江 選挙で自公の劣勢が伝えられるなか、48議席を確保できればいいという意見が浮上しました。和歌山選挙区から無所属で出馬した望月良男さんと非改選で無所属の平山佐知子さんを選挙後に取り込めば、過半数に届くという計算です。ただ実際には47議席にとどまり、“裏目標”も達成できなかった。それでも続投するのは、石破さんの意地なんでしょうね。
青山 続投を望む声も、石破さんの側近たちはもちろん、党外にも多くあります。…
現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および8月7日発売の「週刊文春」では、両院議員総会の展開予想、連立政権の未来予想、石破首相と首相経験者3人の会談の舞台裏、戦後80年のメッセージ発信が実現する可能性、次の総裁候補、麻生太郎元首相の気になりすぎる動きなどを語り尽くした鼎談記事(6000字超)を公開している。
(田﨑 史郎,久江 雅彦,青山 和弘/週刊文春 2025年8月14日・21日号)