石破首相とモディ首相が会談、共同ビジョン策定…「インドへ投資10兆円」「人材交流50万人」

石破首相は29日、インドのモディ首相と首相官邸で約1時間半、会談した。両首脳は、日本の対印民間投資額を10兆円とし、5年間で50万人の双方向の人材交流を目標とするなど今後10年間の協力の方向性をまとめた「共同ビジョン(展望)」を策定した。経済安全保障やAI(人工知能)に関する協力枠組みの創設で合意し、共同声明も発表した。
モディ氏の来日は2023年5月に広島市で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)以来となる。
石破首相は会談で、「この10年で日印関係は大いなる進展をとげた。さらなる高みに引き上げるため、協力の方向性を発信する機会にしたい」と述べた。モディ氏は「現在のような世界情勢の中、インドと日本の相互協力は非常に重要だ」と応じた。
共同ビジョンでは、経済、経済安保、モビリティー(乗り物)、技術革新、人材交流などの八つの柱を設定し、今後10年間の具体的な協力策を列挙した。人材交流は、優れたデジタル人材の日本への受け入れ促進も念頭に置いたものだ。
共同声明は、協力の優先分野の一つとして防衛・安全保障協力を挙げ、中国が強引な進出を強める東・南シナ海情勢に対する「深刻な懸念」を明記した。08年に署名された「安全保障協力に関する共同宣言」も改定し、自衛隊とインド軍の共同訓練や情報共有などでの協力を定めた。
日米豪印4か国による協力枠組み「Quad(クアッド)」に触れ、「地域の平和と安定、繁栄を促進するため、多国間枠組みを通じて同志国間協力を推進する決意」も表明した。
インドへの最新の日本式新幹線技術の導入に向けた協力でも一致した。新幹線の新型車両を30年代初頭にインドで導入する方向性も確認した。
新たな経済安保の協力枠組み「日印経済安全保障イニシアチブ」は、情報通信、医薬品、重要鉱物、半導体、クリーンエネルギーなどを最優先事項とし、サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化などで両国が協力を深める。重要技術の保護に向けて政府間で協力を進めるほか、両国の産業界・学術界の協力も後押しする。
米国や中国などによるAIの開発競争が激化する中、日印両国でAI分野での協力推進に向け、「日印AI協力イニシアチブ」の創設でも一致した。生成AIの基盤となる技術で、文字データを大量に学習して次に来る単語の確率を予測する「大規模言語モデル」(LLM)の開発で協力する。