献血39人分、不適切管理で使用不能に…搬送業者が車の駐車場所探し最大7時間遅れで届ける

東京都赤十字血液センターが今月16日に献血で集めた全39人分の血液が適切に管理されず、使用不能になっていたことがわかった。血液を搬送する業者側の不手際で、管理温度が不適切な状態が長時間続いたことが原因という。人的要因で献血血液が使えなくなるのは異例で、日本赤十字社は厚生労働省に今回の問題を報告した。
関係者や同センターによると、東京都大田区のJR大森駅前の献血バス内で採取された血液が16日午後、日赤の施設に搬送するため業者の担当者に渡された。だが、この担当者が搬送車両の駐車場所を失念したため、血液を持ちながら長時間にわたって車を探すことになり、通常は1~2時間程度で施設に届けられるところ、最大で約7時間の遅延が生じた。
この血液は検査を経て血液製剤として使われる予定だったが、同センターは患者の安全面を考慮して「品質が保証できない」と判断し、使用しないことを決めた。協力した39人には電話での謝罪を進めており、連絡がつかない人にはおわび文書を郵送するという。
同センターは読売新聞の取材に対し、搬送業者の不手際とともにセンター側の対応に不備があったこともあり、血液の搬送に遅れが生じたことを認めた。その上で、「善意でご協力いただいた貴重な血液を血液製剤として使用しない結果となり、深くおわび申し上げる。再発防止策を講じ、品質・安全性の高い献血血液の安定確保に努める」などとしている。
同センターでは今年5月、保管中の血液製剤約1万3700本が冷凍庫の電源が落ちたため使えなくなるトラブルも発生。これを受けて日赤は、各都道府県の血液センターに血液製剤の管理を徹底するよう指示していた。