自民総裁選の前倒し賛同、政府内で「同調者が続く展開が起こり得る」…副大臣「やらないと党終わる」

自民党臨時総裁選の実施の是非を巡り、神田潤一法務政務官が辞職した上で賛成する可能性を表明するなど、政府内でも賛同に向けた動きが広がっている。党内では「同調者が続く展開が起こり得る」との見方が出ており、石破首相(党総裁)側は神経をとがらせている。
神田氏は28日、自身のX(旧ツイッター)で「『総裁選の前倒しを求めるべき』との考え方に大きく傾いている」と投稿。「政務官の職を辞すことになろうとも、重要な政策を前に進めていくために必要だ」と続けた。
党総裁選挙管理委員会は臨時総裁選に賛成する議員には記名で書面を提出させ、氏名を公表する方針を決めている。首相周辺には「公表されるなら政務三役は賛成しづらい」と見る向きがあった。これに対し、神田氏は憲法などが定める「投票の秘密」に触れ、「憲法や公職選挙法に反するような手続きを入れてまで続投を図ることが首相としてふさわしいあり方と言えるだろうか」と批判した。
首相側の思惑に反し、総裁選の前倒しを実現しようと動く副大臣も相次ぐ。複数の副大臣を含む中堅衆院議員らは28日、会合を開き、前倒しに賛成する方針を確認した。副大臣の一人は「総裁選をやらないと、党は終わる」と語った。賛同者が意見交換を重ねる会合に参加する副大臣もいる。
首相側は、議員に電話で賛否を聞き取るなど情勢を把握しようと懸命だ。もっとも「総裁選への賛否は議員としての判断で、政府の一員としての立場とは別だ」(閣僚)との見解も根強い。首相や周辺が露骨な圧力をかければ、反発した議員による辞職を誘発することも想定され、政府高官は「対応が難しい」と漏らす。
林官房長官は記者会見で、総裁選前倒しに賛成する政務三役は辞任するべきか問われ、「党における活動に関する事柄で政府としてコメントは差し控える」と述べるにとどめた。