石井章前参院議員(68)=日本維新の会を除名=の秘書給与詐取事件で、勤務実態のない元公設秘書の口座を石井氏の事務所が実質的に管理し、国から支給された給与を「中抜き」していた疑いがあることが2日、関係者への取材で分かった。石井氏が主導したとみられ、東京地検特捜部は詐取された給与の使途など、一連の資金の流れについても捜査を進めているもようだ。
関係者によると、石井氏は元公設秘書に名義貸しを依頼し、届け出。支給された給与の大半が石井氏側にわたる仕組みになっていたとみられる。
勤務実態のない秘書は複数いたとみられ、うち1人は石井氏が理事長を務める社会福祉法人の関係者で石井氏の親族。周囲に勤務実態がなかったことを認めているほか、別の元秘書も産経新聞の取材に「事務所で見たことはない」と話している。
一方で、名義を使われた可能性があるほかの秘書については、石井氏の政治活動に関与していた時期もあることなどから、特捜部は慎重に勤務実態の裏付けを進めているとみられる。
特捜部は8月27日以降、詐欺容疑で茨城県取手市にある石井氏の地元事務所や東京・永田町の議員会館事務所を家宅捜索。事務所関係者への聴取も進めている。
石井氏は今月1日、参院議長に議員辞職願を提出し、許可された。