前岸和田市長、入札情報漏えい疑いで逮捕…女性問題で2度の不信任決議受けて失職

大阪府岸和田市が発注した工事の入札情報を漏らしたとして、大阪地検特捜部は4日、前市長の会社役員、永野耕平容疑者(47)を官製談合防止法違反、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した。
発表では、永野容疑者は市長在任中、2021年5月に行われた市発注工事の入札前に、業者の代表取締役に最低制限価格を漏らし、この業者に落札させた疑い。特捜部は「捜査の具体的な内容に関わる」などとして、工事の内容や落札業者について明らかにしなかった。
官製談合防止法は、入札を行う国や自治体の職員が入札に関する秘密情報を漏らしたり、特定の業者が落札しやすいよう便宜を図ったりする行為を禁じている。
特捜部は8月25日、同法違反容疑で永野容疑者宅を捜索していた。同27日、永野容疑者は自宅前で読売新聞の取材に、「今、話せることは何もない」と述べていた。特捜部は押収資料の分析を進めた結果、全容解明には逮捕が不可欠と判断したとみられる。
永野容疑者は大阪府議を経て、18年の岸和田市長選に地域政党・大阪維新の会公認で出馬し、初当選した。しかし、政治活動で関わりがあった女性から性的関係を巡って大阪地裁に提訴され、昨年11月に解決金500万円を支払う条件で和解した。翌12月、維新から離党勧告処分を受けて離党し、市議会から2度の不信任決議を受けて失職。今年4月の市長選に出馬したが大敗していた。
藤浪秀樹副市長は4日夕、市役所で報道陣の取材に応じ、「逮捕は報道で知るまで全く把握しておらず、驚いている。残念だ。市として捜査に協力していきたい」と語った。一方、維新は4日、永野容疑者について、遡って除名処分にすることを決めた。