評論家の紀田順一郎さん死去、90歳…書物論・情報論

書物論、情報論、近代史など多彩なテーマで活躍した評論家の紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう、本名・佐藤俊=さとう・たかし)さんが7月15日、致死性不整脈のため死去した。90歳だった。告別式は既に済ませた。
横浜市生まれ。商社勤務の後、28歳で文筆家の道に入り、「日記の虚実」「東京の下層社会」「日本語大博物館」「私の神保町」など多くの著書を発表。1975年からは「世界幻想文学大系」45巻を弟子の荒俣宏さんと10年がかりで編集した。
古書集めをライフワークに博覧強記の本の虫として知られ、本とデジタル技術の可能性にも早くから着目。「第三閲覧室」など古書ミステリー小説も発表した。
2008年、「幻想と怪奇の時代」で日本推理作家協会賞(評論部門)。06年から12年まで、神奈川近代文学館長を務めた。