東京都内の運送業者ら向けに販売する軽油の価格を巡ってカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は10日午前、犯則調査権に基づき、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、石油製品販売会社8社に対し、強制調査の捜索を開始した。価格高騰が続く軽油を巡り、各社が安定的に利益を確保しようとしたとみて、検察当局への刑事告発を視野に調べを進める。
公取委は今年5月、今回の8社のうち6社について、神奈川県内の運送事業者に販売する軽油の法人向け価格でカルテルを結んだ疑いがあるとして、行政調査の立ち入り検査を行った。神奈川県内だけでなく、都内でも同様のカルテルの疑いが浮上したことで、全容解明には強制調査が必要と判断した模様だ。
この6社は、「東日本宇佐美」(東京)、「ENEOSウイング」(愛知)、「太陽鉱油」(東京)、「エネクスフリート」(大阪)、「キタセキ」(宮城)、「吉田石油店」(香川)で、ほかに「新出光」(福岡)、「共栄石油」(東京)を加えた計8社が今回、強制調査の対象になっている。
◆犯則調査権=裁判所の令状に基づき強制的に捜索や差し押さえができ、検察当局への刑事告発を目指して調査を行う。悪質な価格カルテルや入札談合などで、行政処分では改善が困難と判断された事案が対象になる。