メガソーラー乱開発を後押し 旧民主党政権時から続く「2つの制度」

メガソーラーの乱開発を後押ししたのは、旧民主党政権時に導入された固定価格買い取り制度(FIT)と、太陽光発電設備を「建築物」とみなさず、建設の際に必要な確認手続きを原則不要とした規制緩和だ。
政府は東日本大震災翌年の平成24年7月、電力会社に再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、決まった価格で全量を買い取るよう義務付けるFITを導入。ただ、太陽光の価格を高めに設定したため、参入ペースが「想定を大幅に上回った」(経済産業省)という。
太陽光発電設備は、電気事業法に基づく「工作物」と位置づけられ、工事や維持管理などの指導は同省が管轄する。震災前は高さ4メートルを超える発電設備について、建築基準法が適用され、自治体には行政指導の権限も与えられた。ところが、再エネの普及拡大を目指す経済団体などからは、確認手続きに1カ月程度かかり、「普及の足かせになっている」と緩和を求める声が強まった。
このため、政府は23年、電気事業法に基づく安全措置が講じられていることを条件に、建築基準法から除外する施行令の改正に踏み切り、太陽光設備は短期間で整備できるようになった。国土交通省の担当者は「当時は二重規制の弊害を指摘する声もあった」と振り返る。
メガソーラー問題に詳しい政策アナリストの石川和男氏は「人が屋内にいることを前提とする建築物に比べ、工作物の安全基準は緩い。震災後、原発は規制強化でがんじがらめになったが、太陽光は真逆の道をたどった」と指摘。「与党だった旧民主党はもちろん、野党として合意した自民、公明両党の責任も免れない」と切り捨てた。(白岩賢太)