大阪市の淀川河川敷で知人少年2人から暴行を受けるなどした高校1年の男子生徒(15)と母親が産経新聞の取材に応じた。発達障害で意思表示がうまくできない男子生徒に対し、少年らは「スパーリング」と称して暴行を繰り返したという。母親は「息子をおもちゃにしている。本当に許せない」と憤る。
「遊ぼうや」。6月中旬の午後8時ごろ、電話で呼び出された男子生徒が河川敷に着くと、いきなり「けんかしようや」とからまれ、暴行が始まった。
「やめてほしい」と伝えたが暴行は止まらず、土下座させられた上、川に入るよう命令された。「ぬれていたらばれるから」と下着姿になることも指示されたという。
母親が一連の事態を知ったのは約1週間後。少年の一人が暴行の様子を撮影した動画を知人らに見せたことがきっかけだった。息子に時間をかけてゆっくりと詳細を尋ねると、重い口を開いた。
繰り返し電話をかけられて呼び出されたこと、反撃を恐れ抵抗せずに暴行が終わるまで我慢していたこと…。涙ながらに「怖かった」と全てを打ち明けてくれた。
被害を母親に伝えなかったのは、「シングルマザーのママに心配をかけたくなかったから」。その言葉に母親は「なぜ自分がもっと早く異変に気付いてあげられなかったのか」と涙を流した。
事件後、男子生徒は少年らとの関係を断っているが、あの夜の出来事は「忘れたくても忘れられない」。深夜にふとフラッシュバックすることもあり、事件を思い出すと頭が痛くなるという。
母親は「発達障害のある息子が遊び道具のようにされたことは許せない。『障害があるから守ろう』とする、そんな社会になってほしい」と訴えた。