鴨川市の山林で造成工事が進む大規模太陽光発電(メガソーラー)施設計画を巡り、県が23日、工事の一時的な停止要請方針を示したことに対し、計画に反対する地元住民は「対応は遅いが、一歩前進だ」と口をそろえた。釧路湿原国立公園周辺(北海道)のメガソーラー建設計画に絡み、交流サイト(SNS)などで相次いだ反対意見も背景に、県として対応せざるを得なくなったとの見方もある。
鴨川市のメガソーラー計画に反対する市民団体「鴨川の山と川と海を守る会」の勝又国江代表は「大きな一歩。遅ればせながらだが、県はようやく踏み出してくれた」と話す。計画見直しや工事中止を引き続き訴えていく考えだ。
ただ、5月から造成工事が始まり、樹木伐採で白っぽい山肌の露出が目立つ。同会のメンバーの男性は「県の対応は遅い。山肌の露出が広がっている。5月の着工時点で工事を停止してほしかった」と苦言を呈する。事業者の計画変更に伴う県による盛り土の安全対策などの確認にも「真剣度が問われる。おざなりにしてほしくない」と注文する。
県はこれまで「事業者が法令に違反している事実はない」(熊谷俊人知事)などと静観していた。ところが、「メガソーラー反対でSNSなどが炎上し、対応せざるを得なくなったのだろう」(県政関係者)との見方がある。
県議会でメガソーラー問題を追及した網中肇県議(立憲民主党)は工事が一時停止されれば「現況をよく精査するタイミングだ。県は国と連携し、地元が納得できる対応をしてほしい」と求めた。