天皇、皇后両陛下と長女愛子さまは23日、戦後80年にあたり東京都墨田区の都慰霊堂を訪れ、東京大空襲などの犠牲者を追悼された。
都慰霊堂には、1945年3月に東京の下町を襲った東京大空襲などの戦災死者(約10万5000人)らの遺骨が納められている。
ご一家は遺族や近隣住民ら約140人が見守る中、位牌(いはい)が置かれた祭壇の前にゆっくりと進み、白色のユリなどの花束を供えた後、深々と拝礼された。
その後、遺族4人に歩み寄り、声をかけられた。同区の大日向弘行さん(84)は、天皇陛下から「どなたが亡くなられましたか」と尋ねられ、「空襲で親族8人です」と伝えた。当時4歳だった大日向さんは疎開中で一命を取り留めた。
大日向さんが「これだけの犠牲が出たのだから、これからも平和で」と話すと、陛下は「その通りですね」とうなずかれたという。
同区の田中洋子さん(82)は、警防団員だった義父が空襲で亡くなり、「墓には髪の毛一本入っていない」とご一家に説明した。皇后さまは「大変でしたね」、愛子さまは「ご苦労なさいましたね」と言葉をかけられていた。
戦後80年の今年、ご一家は沖縄と長崎を訪れ、両陛下はさらに硫黄島(東京都小笠原村)と広島に足を運び、被爆者や戦争体験者らから話を聞かれた。両陛下は、戦争の記憶の次世代への継承を大切に思っており、この日も愛子さまを伴われた。