高市早苗が「大量国外退去省を設置」というニセ情報、24時間の閲覧回数が800万回に

マイカ・マッカートニー

<高市早苗の首相就任直後、「外国人を大量に国外退去させる省を新設した」とするフェイクニュースが急拡散。アメリカではトランプとの類似性を指摘する声も>

世界でも有数の文化的に同質な国である日本は、長らく厳格な入国管理政策を維持してきた。しかし、少子高齢化と労働力不足に直面する中で、主要産業の労働者向けにビザ要件を段階的に緩和した結果、外国人居住者の数は急増。2024年には人口の3%に達し、過去最高を記録した。

観光客の数も前例のない水準に達しており、日本政府観光局によると2024年の訪日外国人は前年より48%増加。一方で観光地でのマナー違反や迷惑行為が増え、外国人への反発が強まるなか、一部の右派政治家がこの空気を政治的に利用している。

本誌は高市首相の事務所に電子メールでコメントを求めたが、記事掲載時点で回答は得られていない。

高市の選挙公約では、移民問題が主要なテーマとして掲げられていた。保守強硬派として知られる高市は、不法滞在者や滞在期間を過ぎた外国人への取り締まり強化を主張。また、外国人観光客による迷惑行為にも言及し、先月は奈良公園で「外国人がシカを蹴った」と発言して注目を集めた。

こうした文脈を背景に、過去24時間のあいだにSNS上で「高市が大量国外退去省を創設した」とする根拠のない投稿が急拡散。

「高市早苗が首相に就任してすぐ大量国外退去省を作った」とするX(旧ツイッター)上の投稿は、800万回以上閲覧された。

アメリカの保守系メディア「フロリダズ・ボイス」のアシスタントニュースディレクター、エリック・ドゥハーティは「高市は移民抑制を公約に掲げており、安倍晋三元首相と比較される存在だ。反移民の流れが高まっている!」と投稿した。

日米の国旗の絵文字を添えて、不法移民の大量送還で批判されているアメリカのドナルド・トランプ大統領との類似性を示唆したが、現時点でそれを裏付ける証拠は存在しない。

現時点で首相および内閣の誰からも、「外国人を大量に国外退去させる」といった発言は確認されていない。

また、首相官邸の公式サイトに「国外退去省」についての記載はなく、代わりに小野田紀美・経済安全保障相が「外国人との秩序ある共生社会担当」を兼務することになっている。

朝日新聞によれば、小野田は就任翌日の10月22日、「関係機関と密に連携し、ルールを守らない方々への厳格な対応や、現在の制度・施策が現状に合っていない部分の見直しなど、政府一体となって包括的に議論を進めたい」と述べた。

神田外語大学の特任講師ジェフリー・ホールはXでこう述べている。

「高市は大量国外退去を公約に掲げていない。これまでの首相と同様、不法滞在が確認された外国人は、通常通り国外退去の対象になる。それは昔から変わらない」

首相官邸のウェブサイトに掲載された公約(英語版)によると、「在留外国人に関する政策の総合調整を強化し、幅広い施策を推進する。組織犯罪への対策など、治安維持・向上に向けた取組を推進する」と記されている。

高市政権が今後数カ月かけて、労働および在留制度の見直しに着手する中で、どのような移民政策を主導するのかは、まだ明らかになっていない。