「上を向いて歩こう」ディレクター 草野浩二さん死去

坂本九さんの世界的大ヒット曲「上を向いて歩こう」のディレクターを務めた草野浩二(くさの・こうじ)さんが17日午後1時30分ごろ、心不全のため都内で死去した。87歳。東京都出身。葬儀は密葬で行った。

1960年、東京芝浦電気レコード事業部(現ユニバーサルミュージック)に入社しディレクターとして活躍。入社2年目の10月に発売された「上を向いて歩こう」を国内ランキング1位に導いた。

米国での発売予定はなかったが、ワシントン州のラジオ局でリスナーの要望により坂本さんの歌声が流れるとリクエストが殺到。評判の高さからレコード発売が決まり、ビルボード週間チャートで1位を記録する大ヒットとなった。日本人がディレクターを務めた曲が日米のチャートで1位になったのは、60年以上たった今もこの曲のみ。草野さんは生前「戦争終わって20年たってないのに敵国だった日本語の歌がアメリカで売れるわけがないし“え、なんで?”と思ってましたね」と振り返っていた。

草野さんは坂本さんとタッグを組んで「見上げてごらん夜の星を」「明日があるさ」なども世に送り出した。兄の昌一さんは漣健児(さざなみ・けんじ)のペンネームで中尾ミエの「可愛いベイビー」などを訳詞したことで知られる。