「精根尽き、会えないと思うことも」横田めぐみさん拉致48年を前に母、早紀江さん

新潟市で昭和52年、横田めぐみさん(61)=拉致当時(13)=が北朝鮮に連れ去られてから15日で48年となるのを前に、母の早紀江さん(89)が11日、報道各社の取材に応じた。早紀江さんは「精も根も尽き果て、会えないのかなと思うこともある」と問題の長期化に不安をのぞかせながら、一日も早い帰国実現を求めた。
めぐみさんは昭和52年11月15日夕、中学校からバドミントン部の練習を終えて下校中、北朝鮮工作員に拉致された。北朝鮮はめぐみさんについて「死亡した」と主張しているが裏付ける証拠は一切ない。めぐみさんの「遺骨」と称して出したものが、日本側のDNA型鑑定で別人のものだったことも分かっている。
「どうすれば解決の方向に向かうのか分からない。(48年という)長さにあぜんとするばかりだ」と語る早紀江さん。被害者家族は拉致問題解決のため、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との日朝首脳会談を求めているが、平成16年の2回目の首脳会談以来、実現していない。
早紀江さんは「これまで日朝首脳会談を首相にお願いしてもその通りにならず、次から次へ代わってうんざりしている」と話し、現在の高市早苗首相に「芯が強く、『こんな悪いことはほっとけない』とおっしゃっていたことから期待している」と尽力を求めた。
事態が膠着(こうちゃく)するなか、10月に来日したトランプ米大統領が早紀江さんら家族と面会した。早紀江さんは米朝首脳会談が実現した場合に「(トランプ氏が北朝鮮に)一言言うことで動いていけば」と期待を抱く。
かたくなに拉致被害者を返そうとしない北朝鮮の金総書記には、「もしも急に子供が消えて何十年も会えなくなったらどんな思いか、正恩さんも想像してください」と呼びかけた早紀江さん。救出を待ちわびるめぐみさんに「元気な姿だけを思って、神様に祈っている」と心を寄せた。