兵庫県の斎藤知事が昨年11月の知事選を巡る公職選挙法違反(買収)容疑などで書類送検され、不起訴となったことを受け、斎藤知事は13日、初めて記者団の取材に応じ、「一定の決着がついた」と強調した。ただ、告発者の私的情報漏えい問題に関する捜査は継続中で、県議会主要会派からは斎藤知事に更なる説明を求める声が上がっている。
「選挙などについて適正、適法にしてきたという、主張通りの結論が出た」
斎藤知事は、知事選で選挙運動の対価をPR会社「メルチュ」(西宮市)に支払ったとする公選法違反容疑などが不起訴となったことについて、こう述べた。「一定の決着をみたことになる」と語る一方、自身への捜査に関する内容は語らなかった。
このほか、斎藤知事のパワハラなどを告発した前県西播磨県民局長(昨年7月に死亡)の私的情報が県議に漏えいした問題では、地検が斎藤知事らに対する地方公務員法違反(守秘義務)容疑で引き続き捜査している。
最大会派・自民党県議団の谷口俊介幹事長は「不起訴は粛々と受け止めるが、県民が疑念を持っていた問題をきちっと自分の言葉で説明してほしい」と強調。公明党県議団の越田浩矢幹事長も「情報漏えいの結果が出ていない。その捜査結果が出たうえで、説明責任をどのように果たさせるかを議会として考えていかなければならない」と述べた。
維新の会県議団の佐藤良憲幹事長は「知事自身の言葉で話すことで、県民からの納得も得られるはずだ」と強調。ひょうご県民連合の上野英一幹事長は「不起訴になったからといって、政治責任がなくなるわけではない」と力を込め、引き続き議会で厳しく追及する構えをみせた。
このほか、地検は、知事選に立候補した前尼崎市長の稲村和美氏への支持を表明し、公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑で告発されていた22市長について、不起訴とした。
県市長会の会長を務める丹波篠山市の酒井隆明市長は、「今回の選挙は、事実でないことや人権侵害に関わることが多く、さらなる混乱が目に見えていたため、県政が前に進むことを願っての純粋な思いの表明だった。このことを(検察には)ご理解いただいたものと考えている」などとするコメントを出した。