目立つ不信任決議から議会解散の流れ、問題の長期化招く 「個人の資質」は制度の想定外

昨年の兵庫県知事選以降、地方の首長が個人的な問題で議会と対立し、不信任決議に至るケースが相次いでいる。首長が議会解散に踏み切り、問題が長期化する自治体も多く、識者は制度本来の趣旨から外れていると指摘する。
それぞれ住民から直接選ばれる首長と議会による二元代表制を採用する地方自治では、首長の失職につながる議会側からの不信任決議への対抗手段として、解散権が認められている。解散に伴う議員選挙後に、再び不信任決議を受けると首長は失職する。
大阪府岸和田市では、永野耕平前市長が不倫関係にあった女性との間でトラブルとなり、市議会が昨年12月、「市政に混乱を招いた」などとして不信任案を可決。前市長は市議会を解散したが、市議選を経て再度の不信任を受け、今年4月の出直し選で敗れた。
今年9月には静岡県伊東市で、当時の田久保真紀市長の学歴詐称問題を受け、市議会が不信任案を可決した。田久保氏は議会解散を選択したが、市議選後に再び不信任を受けて失職。12月に市長選が行われる。
元総務相で鳥取県知事も務めた片山善博・大正大特任教授は、本来は首長が政策を巡って議会と対立し不信任を受けた際に、議会を解散して住民の判断を仰ぐべきと指摘。「個人の資質に関わる問題での議会解散は制度が想定していない事態だ」と話す。
伊東市のケースでは、学歴詐称問題が浮上した6月から市長選まで半年を費やすなど、現行制度では問題が長期化する傾向にある。片山氏は不信任を受けた際の首長の選択肢を変えるなど、「制度を改善する必要性がある」としている。