東京都杉並区は20日、区の前顧問(文化行政担当)が区立施設の指定管理事業者の職員に対し、「人格を否定し、尊厳を著しく侵害する発言をした」と公表した。7月に公益通報を受けた区公益監察員の弁護士が調査し、9月に調査結果を区長に報告した。前顧問は既に退任している。
区が公表した調査結果や監察員の意見によると、前顧問による不適切発言があったのは2023年5月ごろ。具体的な発言内容は明らかにしていないが、「職場での孤立や萎縮を招くもので、社会通念上許容される範囲を明らかに逸脱するもの」「その精神的な苦痛を軽視することはできない」とした。
前顧問は「指導の一環として行ったもので、人格を傷つける意図はなかった」と弁明しているという。
前顧問は07年に就任し、23年6月に任期満了で退任した。岸本聡子区長は「(前顧問は)退職しているが、区政に対する信頼低下を招くことに変わりはなく、心よりおわびする」とのコメントを発表した。【古瀬弘治】