沖縄県那覇市内の認可外保育施設で2022年7月、一時預かりの生後3カ月の男児がうつぶせに寝かされ、その後死亡した事故で、県警は20日午前、当時の経営責任者で、施設長(園長)だった60代女性を保護責任者遺棄の疑いで書類送検した。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられる。施設は既に廃園している。
女性は2022年7月30日、保育施設で一時預かり保育中の男児に対し、十分な監視を行わなかったうえ、男児に異変が生じたことを認識した後も、応急の救護や適切な診察治療を受けさせるなど、必要な保護を行わなかった疑いがある。男児は心肺停止状態に陥り、その後死亡した。
捜査関係者によると司法解剖の結果、男児の死因は「不詳」だったが、ほかの専門家による鑑定では、「窒息」との診断も出た。ただ、生後間もない乳児で外傷などもないことから、県警としての最終的な死因の特定は難しく、保護責任者遺棄致死容疑での立件は見送った。
事故を受けて那覇市が設置した検証委員会が昨年3月に出した報告書では、事故予防マニュアルがなかったことや、職員配置が基準以下だったとした上で、市の監査が不十分だったことも指摘されている。
昨年7月には、父母が元園長と那覇市、国に対し約9125万円の損害賠償を求める訴訟を那覇地裁に提起し、民事裁判が進行している。