大分市佐賀関で18日に発生した大規模火災で、犬や猫のペットを連れていることから市が設置した避難所に入らず、車中泊などを選ぶ人もいる。犬を保護する民間団体などがペット同伴の避難所として名乗りを上げており、「ペットも人間も一番いい形で過ごせれば」と呼びかけている。(上山敬之)
民間団体が「同伴避難所」名乗り
20日午前に佐賀関公民館の裏の駐車場で車中泊をしていた建設業の松本孝治さん(62)は、佐賀関・田中地区にある自宅が被災した。火災当日は周囲の人たちに声をかけながら、愛犬のダックスフント・くうちゃん(10歳・オス)を抱えて岸壁近くに止めていた軽乗用車に避難し、毛布1枚と防寒具だけで眠れぬ一夜を過ごした。
普段は穏やかなくうちゃんだが、不安を感じたように、車外に必死に出ようとし、おびえたような鳴き声を発していたという。
翌日、公民館の裏に移動した。避難所の2階の一角には、猫をケージに入れて過ごす人の姿も見られるが、松本さんはケージも火災で失ったほか、「犬アレルギー、犬嫌いの人とのトラブルは避けなければ」と車中泊を選んでいる。松本さんによると、同様の理由で車中泊をする世帯が5、6世帯あるという。
松本さんは仕事を再開するため、一時的にくうちゃんを預ける予定だ。「家族なので離れ離れになるのはつらいが、車に残していくわけにはいかない」
市福祉保健課によると、ペット同伴者が避難所を訪れた場合には空き部屋や別の建物に案内するなど、状況に応じた対応は可能だとするが、車中泊の実態については人員にも限界があり、確認中としている。
こうした状況の中で、同市志生木のアニマルシェルター「RIRIMAMの樹」は事務所の建物の個室4部屋と大広間をペット連れの被災者らのために用意している。火災発生の翌日から、団体が運営するインスタグラムで受け入れを表明。県内外からの寄付で、それぞれのペットにあわせたフードも用意している。
22日現在、飼い主の宿泊はないものの、犬と猫計12匹を預かっている。同団体の首藤桃奈チーフ(26)は「人間もペットも一番いい形で過ごすために、選択肢の一つにしてもらえれば」と話している。