【永田町番外地】#53
共産党機関紙「赤旗」がまたまた“維新叩き”だ。藤田文武共同代表の次なる標的にされたのは同党総務会長を務める高木佳保里参院議員(53=大阪府選挙区)。日曜版赤旗(電子版11月23日号)は、同議員の政策秘書が関係する3法人に対して支出した家賃やリース料など約2700万円を公金還流疑惑として伝えている。
もっとも法に触れるのかというと、ビミョー。
「藤田代表と同様、秘書も兼職届を出していますし、支出そのものに違法性もない。だから疑惑として騒ぐしかない。それでも大々的に取り上げるのは赤旗も意地というか、引っ込みがつかないからでしょう。われわれメディアサイドとしては、どうせなら維新の所属議員全員の政治資金を洗い出してもらえれば、手間が省けて助かります」(全国紙社会部デスク)
高木議員については、赤旗編集部に別件で垂れ込みがあったとかで、目下第2弾を仕込み中なんて話も飛び交っている。
“不祥事の総合商社”と呼ばれてもおかしくない維新の過去とカネをほじくれば、ヘタな鉄砲も数撃ちゃ一発くらいは的に当たることがあるかもしれない。
それにしても、所帯の割に、維新はなぜこうも“公金流用疑惑”が尽きないのかというと、笑えない事情がある。
■身を切る改革「会食費は1人5000円まで」がウラ目に
そもそも維新の場合、“身を切る改革”と称して議員歳費3割カットを掲げており、2014年からは歳費の2割を自主カットして被災地に寄付。さらに、22年には政治活動費が議員の夜遊びに費消されていたことが発覚して批判を浴び、それをきっかけに「党員同士の飲食代を1人上限5000円」にする方針を打ち出したものだ。
だが、それが逆に足かせになっている。
「政治家の飲食となれば、そんな額で収まるはずがない。個々の議員、特に子分の面倒を見る幹部連中は不足分をヨソで捻出する必要に迫られ、苦肉の策が今回、赤旗が追及している公金還流疑惑の背景にあるのです」とは、実際に飲食代金の付け回しに苦労した同党所属議員の元秘書の話だ。
つまり、国民ウケを狙った“身を切る改革”のハードルを上げ過ぎたがために、かえって赤旗に付け入るスキを与えてしまっているわけだ。
「連立政権を取り巻く環境は決して楽観できるものではない」–。
高市内閣の“生みの親”とも言える自民党の麻生太郎副総裁は19日の講演でこう語った。
麻生氏の脳裏には、近い将来、維新との連立で苦境に立つ高市首相の姿が浮かんでいたのかもしれない。 (特命記者X)