琵琶湖湖底から最古の縄文土器、1点はほぼ完全な形…1万年以上前「運ぶ途中に落ちたのでは」

滋賀県は25日、長浜市の「葛籠(つづら)尾崎湖底遺跡」から、縄文時代早期前葉~中葉初頭(1万1000年前頃~1万500年前頃)の土器1点がほぼ完全な形で見つかったと発表した。同遺跡では、これまでに約1万年前の縄文土器が見つかっているが、今回の土器が最古とみられる。県の担当者は「縄文土器がほぼ完全な形で見つかるのは、きわめて珍しい」と話している。
土器は、文化庁の調査研究事業の一部を受託した県が10月、無人潜水機を使って、対象区域の中でも土器が集中していた水深約64メートルの湖底を撮影。湖底の形状や遺物などの立体的な3D画像を生成した。画像を調べたところ、縄文土器の高さは約25センチ。底部の先端がとがっており、形状から年代を推定した。
琵琶湖の湖底遺跡の調査を続けている立命館大の矢野健一・特別任用教授(考古学)は「仮説だが、約1万1000年前に丸木舟に土器を載せて運ぶ途中に落ちた可能性があり、当時から舟による湖上交通があったことが考えられる」と話している。
付近では、古墳時代中期(5世紀)の土師器(はじき)の甕(かめ)6点と、年代不明の土器1点が確認された。6点のうち3点は一列に並んでおり、県は「ひもなどで結ばれていた可能性が考えられる」と推定している。
県はこのままの状態で保存するという。
葛籠尾崎湖底遺跡は、1924年に漁師の網に土器が引っかかったことをきっかけに発見された。これまでに縄文時代早期から平安時代後期までの土器などの遺物が多数見つかっている。