秋田の動物園からクマ脱走、爪で内開き扉を引いて外に出たか…南京錠とかんぬき両方の施錠し忘れ

秋田市の大森山動物園でクマが飼育舎から一時的に脱走した問題で、沼谷純市長は25日の定例記者会見で、クマは飼育員が鍵をかけ忘れた扉から脱走したと明らかにした。全国で野生のクマによる人身被害が多発する中での失態に、沼谷市長は「不安な思いをさせてしまった」と陳謝した。同園は26日から営業を再開する。(菊池蓮)
同園によると、クマが脱走したのは、飼育舎を構成する展示スペースの裏側にある鉄製の扉。そのまま来園者の見学スペースにつながっている。脱走前日の20日に担当の飼育員が1人で展示スペースを清掃するため扉を開け、作業後に施錠を忘れていたという。
扉は南京錠とかんぬきで外側から施錠する仕組みだが、同園がクマの脱走後に確認したところ、いずれも掛かっていなかった。扉は内開きのため、クマが爪を掛けるなどして扉を引いて外に出たとみられる。
飼育舎は、展示スペースと、就寝時などに過ごすコンクリート製の建物で構成される。日常業務で使う建物側の扉は、2人で施錠を指さし確認する決まりがあるが、展示スペースの扉は扱い方のマニュアルがなかった。同園は今後、作業時は南京錠を管理職に預け、複数人で施錠を確認するマニュアルを定めて再発防止を図る。同様の扉がある他の大型動物の飼育舎でも運用する。
沼谷市長は25日の会見で、「クマ被害で心配をかけている中、動物園が飼育するクマを脱走させてさらに不安な思いをさせてしまい、おわびする。鍵を掛けていなければアラームが鳴るといった機器の導入など態勢を見直したい」と話した。