多額献金した母親の銃撃を「考えたことはある」 山上被告が明かす 安倍氏銃撃裁判

令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)は、2日の第12回公判での被告人質問で、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金をした母親の銃撃を「考えたことがある」と述べた。
被告人質問はこの日で3日目となり、裁判員や裁判官の質問に入った。裁判官は事件の動機について、「旧統一教会への怒りや恨み、葛藤からになるか」と問うと、被告は「はい」と認めた。
これまでの公判や被告人質問によると、被告の母親は平成3年に旧統一教会に入信し、10年ごろまでに約1億円を献金。一家は困窮に陥ったという。
続けて裁判官が「(恨みなどの)そういった感情は母親には向かわなかったのか」と質問すると、被告は「実際に行うかどうかは別として、母親に向くことはあった」と、パイプ銃を自作していた時期に母親の銃撃を考えていたことを明かした。母親の銃撃を見送った理由は「そもそも母親の献金は旧統一教会の教義に従ったもの。(恨みなどの対象が)母個人ということでもない」と述べた。
検察側の冒頭陳述によると、被告は当初、旧統一教会の最高幹部らの襲撃を試みたが失敗。新型コロナウイルス禍で最高幹部が来日する見通しが立たなくなり、襲撃の対象を安倍氏に切り替えたとされる。
裁判官は「国内の旧統一教会の関係者を狙うことは考えなかったのか」とも質問。被告は「日本の幹部を襲撃したとしても解決にはならない」と答え、「解決」とは、「旧統一教会への献金や(献金に絡む家族間の)争いが起きるのを無くすということです」と述べた。