「襲撃で迷惑になるので」山上被告、事件直前に自民候補へ投票と明かす 安倍氏銃撃公判

令和4年7月に参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が銃撃された事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第12回公判が2日、奈良地裁で開かれ、3日目となる被告人質問が行われた。被告は事件直前に参院選の期日前投票を行い、自民党公認候補に投票していたことを明かした。
安倍氏が銃撃されたのは、当時奈良選挙区から立候補していた佐藤啓参院議員(官房副長官)の応援演説中だった。佐藤氏は安倍氏のすぐ近くで応援演説を聴いており、第2回公判では証人として出廷している。
被告人質問によると、被告は事件を起こす約1時間前、現場となった近鉄大和西大寺駅(奈良市)近くの商業施設で期日前投票を行い、佐藤氏に投票したという。
佐藤氏を投票先に選んだ理由について、被告は「(安倍氏の)襲撃を実行すれば演説が中止になり、そこにいる候補には迷惑になるので」と述べた。
弁護側の質問に答えて投票先を明かした形で、検察側が質問に疑義を呈したが、裁判長は「『投票の秘密』なので話す必要はありません。弁護側が聞く範囲で答えていただいて構いません」と被告に告げた上で質問を認めていた。