長野県飯田市の佐藤健市長(58)が今夏、新盆を迎えた有権者の自宅を訪問し、自身の名義で見舞金を手渡していたことがわかった。専門家は公職選挙法に抵触する可能性があると指摘している。
公選法では政治家や候補者が選挙区内で、氏名を類推できる方法で寄付することを原則禁止している。見舞金なども寄付に当たる。
6日、同市内で取材に応じた佐藤市長は「『新盆見舞い』と印刷されたのし袋に自身の名前を書き、現金3000円を入れて遺族に手渡した」と明かした。市長就任後、毎年5軒程度の有権者宅を訪問したと説明し「特に親しく世話になった人の葬儀に行った後、新盆に遺族宅を訪問して見舞金を渡すのはこの地域の慣習。葬儀で私自身が出向いて香典を渡せば公選法上は処罰されない。新盆でも私が出向けば問題ないと考えていた」と述べた。
公選法に詳しい神戸学院大法学部の上脇博之教授は「新盆の見舞金は寄付に当たる。有権者に現金を持って行かざるをえない慣習を断ち切ることこそ政治家に求められる」としている。