「女性総理」で高市早苗に先を越され…野田聖子は対抗心メラメラ

【永田町番外地】#55
自民内に“オンナ石破茂”と陰口される政治家がいる。かつて初の女性首相誕生が期待されていた野田聖子元総務相のことだ。
野田の言動が、高市自維連立政権のやることなすことにイヤミったらしく絡んでくる近頃の石破前首相の振る舞いに重なって見えるからだろう。公明党の連立離脱表明直後に、野田が「自民党のトップみたいな人たちは(公明党に対して)アンチな発言が多かった。言った方は忘れるが、言われた人は一生忘れない」と語ったのは周知のとおり。名指しこそ避けたものの、高市へのあてこすりであることは明らかだった。
つい最近も高市が党首討論で「政治とカネ」問題をしつこくただされ、「そんなことより定数の削減をやりましょう」と逆切れした際には、野田は周辺に「政権の危機につながりかねない」との懸念を示したそうだ。
野田のこうした言動は、女性初の冠レースで先を越された腹いせとも思えるが、ある自民党ベテラン職員はこんな物騒なことを口にする。
「いずれ野田が石破と組み、野党を巻き込んで高市潰しに走るかもしれません。“野田の乱”が起きるとすれば、高市が“こども家庭庁”を潰しにかかった時でしょう。反高市陣営の橋頭堡となるのはこども家庭庁設置の法案成立を強力に後押しした超党派の“ママパパ議連”。野田が会長です」
こども家庭庁の設置は菅政権から岸田政権に引き継がれ23年4月に発足した。この時、野田は閣内にいて少子化対策・女性活躍担当、こども政策担当の内閣府特命大臣を務めた。いわば、こども家庭庁の“生みの親”である。一方、野田とのオンナの闘いを制した高市は「看板だけ立派で中身のない行政になることへの懸念からこども家庭庁の設置には当初から懐疑的だった」(全国紙デスク)という。実際、高市は組閣人事でこども家庭庁を内閣府の12を数える特命担当大臣の兼務として冷遇。併せて石破前内閣時に前年度から約960億円を積み増した総額7兆4000億円の概算要求の大幅減額を強いる構えだ。
「高市首相は将来的には廃止も視野に入れています。年間7兆円の予算が浮けばガソリン税の暫定税率廃止や自動車取得税、178万円の年収の壁など国民負担の軽減に使えますからね」(首相周辺)
当然ながら、野田はこれに反発。11月27日に行われた“ママパパ議連”の会合で野田は「こども家庭庁が子どもを増やしていないというのは思慮が足りない」と言い放った。議連は総勢84人。幹部の顔ぶれは、野田会長の下、副会長には蓮舫がいて、国民民主の伊藤孝恵が事務局長を務める。蓮舫はもちろん、伊藤は国民民主の連立入りに待ったをかけた反高市派の急先鋒として知られる。さながら高市おろしの決起集会の様相だった。=文中敬称略 (特命記者X)