8日午後11時15分ごろ、青森県沖を震源とする震度6強の地震があり、気象庁は9日午前2時、日本海溝・千島海溝沿いで大規模地震の発生可能性が平常時より相対的に高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。発表は、2022年12月の制度運用開始後初めて。
また、気象庁は8日午後11時23分、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報を発表した(9日午前2時45分に注意報に切り替え)。9日午前1時9分に岩手県の久慈港で70センチの津波が観測されるなど各地に津波が到達した。
気象庁によると、この地震の震源は青森県八戸市の東北東80キロ付近で、震源の深さは54キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・5(暫定値)、ずれ動いた地震の面積などから、より正確に地震の規模を算出するモーメントマグニチュード(Mw)は7・4と推定される。
注意情報は、Mw7・0以上の地震が想定震源域に影響を与える場所で発生した場合に発表されることになっている。対象は、事前に指定された北海道から千葉県の7道県182市町村。今後1週間の大規模地震の発生可能性が平常時の約0・1%から約1%に高まっているとして注意喚起している。
ただ、大規模地震が発生するかどうかは不確実で、事前避難までは要請していない。鉄道や店舗などの休止も求めず、通常の社会活動を続けながら防災行動をとるよう呼びかけている。
日本海溝・千島海溝沿いでは過去、11年の東日本大震災(M9・0)をはじめ大地震が繰り返し起きている。政府の想定では、冬の深夜にM9級の地震が日本海溝で起きれば死者19万9000人、千島海溝なら10万人とされる。津波の被害に加え、寒冷地での低体温症による死亡リスクもある。
高市早苗首相は9日未明、「現時点で負傷者7人との報告を受けている」と首相官邸で記者団に語った。
【最上和喜、原諒馬】